リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

ローマとナポリ行ってきました

今年はこの遠征で終わりのつもりなので、少ないよ。
前回イタリアに行ったのは、Zubin Metha師指揮によるフィレンツェの《フィデリオ》

 

lyudmila-galahad.hatenadiary.jp

 今回もMehta師によるコンサート形式《フィデリオ》。

場所はナポリのサンカルロ劇場。イタリアはローマを境に別の国になるときいていたので(危ないって意味で)そうとうびびりながら出かけた。
が、やはりここにもテロへの警戒か、そこかしこに銃を持った軍人さんとか警察とか消防士*1がいたし、国際標準的な観光都市ってかんじだったから、考えていたほど怖くはなかった。
空港はローマにして、ナポリへはフレッチャロッサで往復*2
1日目ローマ・テルミニ駅近くに1泊し、翌朝2日目バチカン美術館のearly entranceで午前中見学をし、ナポリに移動。《フィデリオ》1回目鑑賞。
3日目はナポリ市内散策。4日目はヴェスビオ周遊鉄道に乗ってエルコラーノ遺跡までお出かけ、後《フィデリオ》2回目鑑賞。翌日早朝ローマまで戻り、復路に。

お天気は快晴。列車はいずれも滞りなくほぼ定時運行。飛行機も定時発着。ナポリのホテルはサンカルロ劇場から道路ひとつ挟んだだけの近距離、セキュリティ万全の16室しかないプチホテル。

個々の項目については、これから記事にしていこうと思う。

*1:これは劇場内を普通にパトロールしているようだ。しかもけっこうな人数いる

*2:ローマ・ナポリ間は1時間10分

Paavo Jarvi 指揮 《ドン・ジョバンニ》 at NHKホール 09092017

NHK音楽祭2017の最初の公演《ドン・ジョバンニ》を聴いてきた。
オペラをあまり振らないPaavoさんではあるが、そういえば《フィデリオ》も観たなあとか、ちょっと前のことだとすぐ忘れてしまう。
演奏会形式だが、衣装や演技もそれなりについていて、セミステージと言ってもいいのじゃないかと思った。歌手の質、いわずもがな、演奏も高品質でたいへんコスパのよい演奏会だった。

指揮は随所でぴりっとスパイスが聴いていて音はくっきりと際立ち、N響は常に真面目にいい仕事をするので次の場面が楽しみ~と音楽を追っていくうちに終わってしまった。
ひさしぶりに聴くBernard Richterは、声があまりにもデカいんでびっくりしてしまった。以前聴いた時にはこんなにデカくなかったはずなのに…。アンサンブルでもひとりだけ目立っていた。そこで目立たなくてもいいとは思うが。
私の好きなバスのひとりAlexander Tsymbalyukが騎士長役。最初と最後にしか出ないのが残念。
ドン・ジョバンニとレポレッロも、芸達者の美形コンビだった。暇乞いはスマホで、とかドン・ジョバンニと指揮者が話しながら出てくるとかオケが舞台に乗っている状態を有効活用した現代風の演出もおもしろかった。
全体的に明るく楽しい舞台と演奏で、ドン・ジョバンニの暗い部分というのがまったくなかった。最後に地獄におちてしまったはずのドン・ジョバンニが、何食わぬ顔で登場(カテコではない)してくるのも、ハッピーエンド(?誰にとって?)のような、ちょっと不思議な気がした。
私はもともとバロックとモーツァルトのオペラが好きなのだ、ということを、当該作品を聴くたびに実感する。定期的にそれらを耳にしていると精神安定上いいように思う。
脚本がどうこうというより、純粋に音楽が美しく楽しいのだ。

NHKホールは、オペラの聴衆にとってはあまり評判が良くないヴェニューであるが、私はN響が演奏して、席も選べばそんなに悪くはないと思う。大きすぎるのと、ホワイエ部分が複雑なつくりになっているのが(迷子になってしまうので)難点である。
しかしまた3週間後には、ここでバイエルン国立歌劇場の公演を観る予定だ。

DNO《サロメ》テレビ放送あります&レパートリーの話

DNOの《サロメ》が、めでたくNHKプレミアムシアターで放送される。

www4.nhk.or.jp

9/11深夜である。
たぶん放送されるんだろうな、と予想はしていたが、こんなに早くあるとは思わなかった。たいへんうれしい。誕生月にはいいことがある。

favouriteは、ホームであるマリインスキ劇場ではイタオペも歌うが、よその劇場ではほぼロシアオペラかワーグナーに特化してオファーがある。
降板してしまったが、バイロイト音楽祭に出演が決まった時に「初のロシア人タイトルロール」と言われた。さもありなん。
最近気付いたのだが、オペラファンの中で知名度の高く評価も高いロシア人歌手というのは、ロシアオペラ以外なら、ほとんどイタオペがレパートリーなのだ。
以前favouriteが、10年かけてスラブ風の発声を変え、ドイツ語のヴォーカルコーチにもついていると話していたが、彼のドイツ語ディクションはドイツ人が聞いても「ほぼ完璧」と言うほどのものだ。
しかし、彼がいくらワーグナーが得意といっても、優れたドイツ人バリトンは山ほどいるので、なかなか諸役回ってこないのが残念だ。
また、先日バルト海音楽祭で《パルジファル》第3幕と《ラインの黄金》のコンサート形式での上演があった。マリインスキ劇場のオケとソリストでの公演だった。ここでは彼はアンフォルタスとヴォータンを歌った。いずれもよその劇場ではなかなかオファーがない役だ。アンフォルタスはCD録音もふたつあるが、いざ劇場公演となるとクリングゾル役ばかりオファーがある。来年などほぼ連続で《パルジファル》三昧になるが、いずれもクリングゾルを歌うことになっている。*1ヴォータンは、私の記憶が確かならば、マリインスキのホームおよび引越し公演以外ではライプチヒオペラでしか同役を歌ったことはないはず。
なんかワグネリアン方面から「いいヴォータン役がいない」という声が聞こえてくることがあるが、彼のようにどっかの劇場アンサンブルに埋もれてるかもね。

 

 

*1:MET、ベルリンフィル、パリオペラ

Roberto Alagna のローエングリン( バイロイト音楽祭2018)デビュー

さて今年もバイロイト音楽祭の開幕日がやってきた。プレミエは《ニュルンベルクのマイスタージンガー》Philippe Jordan 指揮、Barrie Kosky*1  演出なのでけっこう楽しみにしている。当日はEBUの各ラジオ局でライブ放送があるし、日本でも一カ月も待たずにテレビ放映がある。8/21ですよ。

www4.nhk.or.jp

来年のプレミエになる《ローエングリン》についてのニュースも早々と出ていた。

www.musik-heute.de

これ、Robert Alagnaがローエングリンデビューの予定ということで、だいぶ前から話題になっていたものだ。2014年時点では、Anna Netrebkoがエルザとの話だったが、ネトコさんは昨年ドレスデンでエルザデビューしたところ、不向きであると本人もわかったらしく無しになった模様。声質としては合わないこともないし、ご本人もワーグナーが好きだと話していたが、いかんせんドイツ語が何歌ってるかわからん…という致命的な欠点がある。ロシア人歌手でドイツオペラがきちんと歌える人はほんとうに希少で、相当の覚悟がないとバイロイトで歌うことなどできないだろう。*2
もしふたりが歌っていたとしたら、ずいぶんと雰囲気の違う《ローエングリン》の舞台が見られただろうな、とは思う。
で、発表された予定キャストは、タイトルロール以外はがっちりワグネリアンシンガーで固められている。安心であろう。
いままで、イタリア、フランスオペラばっか歌ってきたようなAlagnaだが、2011年に公開されていた映画《CELLES QUI AIMAIENT RICHARD WAGNER》では、ワーグナーを歌う役で出演していた。また、一昨年パリで上演されていたショーソンのオペラ《アルテュス王》ではローエングリンの前段階の役としてランスロを歌っていたので、かなり長い間ロールデビューを意識して準備してきているのではないか。
私の愛するWaltraud Meier 様もお出ましなので、楽しみ♪ 

*1:得意のオージー場面はどこになるのかしら~

*2:大きい声で言いたいですが、その希少な歌手のひとりが私のfavouriteです!!

滞在中のことあれこれ

今回は1都市5泊の予定だったので、はじめはエルミタージュアムステルダム近くのアパートホテルに泊まろうと考えていた。そこは以前1度予約して、旅程が変わりキャンセルしたのだが、その時のメールが感じがよく、次は泊まってみたいなと思っていた。ところが、そこは営業をやめてしまっていた。それならしかたない、と、いつものハンプシャーエデンのストゥーディオタイプを予約することにした*1

f:id:Lyudmila:20170720112239j:plain 写真はBooking com.のサイトから拝借

ホテルの並びにアパートメントの部分がある。私はこの最上階の部屋だった。
チェックインした時にレセプションで「お客様はアパートをご予約ですが、申し訳ありません、1泊目はこちらの普通のお部屋にお泊りください。広いお部屋をおとりしてます。明日、本来のアパートに移動していただきます。お荷物はスタッフが運んでおきますので、お出かけ前とお戻りの時にキーの受渡しのためにこちらに寄ってください。」と言われ、ずいぶんといいお部屋に案内された。(ほんというと、そのままその部屋でもよかった)

*1:他にもアパートメントタイプはあるが、中心部の建物は全体に古く、ねずみがうるさかったりいろいろ問題があるそうだ

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Salome at Dutch National Opera 05072017

楽日である。初日は6月9日、6月末にラジオ放送・テレビ放映*1もあり、favouriteは、ここしばらくそういう機会を逃してきたので、無事にここまで完走することをずっと祈っていた。少し公演の間が空くとサンクトペテルブルクに戻り、《トリスタンとイゾルデ》の演奏会形式兼レコーディングやら、先の公演直後に同演目をマリインスキー劇場で歌って戻って来るというハードスケジュール。決していいかげんなパフォーマンスをしているわけではない。どれだけ努力して、自己管理しているか今回はほんとうによくわかった。この日も頭痛が治らず、ものすごいプレッシャーなんだ、と言っていた。「だいじょうぶだよ、きっとうまくいく」私ができるのはそう言って励ますことくらいだ。

f:id:Lyudmila:20170717140220j:plain カテコ。楽日なので花束付き。

Musical director: Daniele Gatti
Stage director: Ivo van Hove

Herodes: Lance Ryan
Herodias: Doris Soffel
Salome: Malin Byström
Jochanaan: Evgeny Nikitin
Narraboth: Peter Sonn
Ein Page der Herodias: Hanna Hipp

Royal Concertgebouw Orchestra

*1:favouriteが当然のように「Mezzoの放送観たか?」ときいてきた。日本じゃ見られないのだと説明したが…。

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マーストリヒト散策

毎度のことながら、ミュージックシアターでオペラを観る以外、ノープランでやってきた。月曜日は美術館*1はお休みが多いので、ぶらぶらどこかの街歩きをするのがいいかな、と考えた。
オランダ在住のバーチャル姉レイネさんのいる街、マーストリヒトまで行ってみようと思いつき、電車の時間を調べるとアムステルダムから2時間半程度で行ける。
もっと早くから言っておけよ、と思いながらもおもむろにレイネさんに連絡。ちょうど都合がいいとの返信をいただいて、喜んで出かけることにした。
アムステルダム中央駅できっぷとコーヒーを買い、いい気分で出発。車窓から羊や牛のいるのどかな田園風景を眺めてぼけっとしていると、検札の人がやってきた。
きっぷを出すと「マーストリヒトまで行くの?」「そうです」「この車両はエイントホーフェンで切り離されるから、前の方の車両に乗らないとマーストリヒトまで行けないよ」「!前の車両ですね!ありがとう」。びっくりした。名古屋鉄道*2 やドイツの地方の列車みたいなことがあると思わなかった。車内の電光表示を見ていなかったのも失敗だったが、教えてもらって助かった。検札が来るのはいやだな~と思うけど、こういう利点はあるのだ。エイントホーフェン駅につくと、走って前方の車両に向かった。
NS自体は月曜日でも順調な運行だったので時間通りにマーストリヒト着。ホームまでレイネさんがお迎えに来てくださっていた。

*1:ライクスミュージアムあたりは開館しているらしい

*2:地元の名鉄ではよくあるのです

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