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リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

La Concordia De' Pianeti @Konzerthaus Dortmund 18012014

ミュンヘンからドルトムントまで*1ICEで約6時間、とにかくこの演目を聴きに移動した。
3日あったアントニオ・カルダーラシリーズの最終日である。

*2Verónica Cangemi: Diana
Delphine Galou: Venere
Carlos Mena: Marte
Franco Fagioli: Apollo,
*3Ruxandra Donose: Giove
Daniel Behle: Mercurio
Luca Tittoto: Saturno
La Cetra Vokalensemble Basel
La Cetra Barockorchester Basel

Andrea Marcon: Dirigent

カルダーラの復活再上演一回こっきりレア演目という、’La concordia de' pianeti’ カール6世皇妃エリザベートのための祝典劇ということは、オペラというか、祝祭カンタータなんだろなと考えていて、はたしてそのとおり。

思いっきりエリザ様をよいしょしまくるのである。

プログラムには前日の作品テキストはあったけれど、こちらのほうは載っていなかった。オペラじゃなくても、歌手さんたちの姿を見ないといけないので、あまり字幕をみる余裕もなかった。時々見ると、合唱なんかはいつも同じこと歌ってるみたいだし。ソリストダカーポアリアの連続なんで結局3行くらいの歌詞を延々歌ってるんだけど。

何人かのアンサンブルでは対話になっていて、ちゃんとディアナがジョーヴェに「おとうさま」とか言ってたから、属性としては惑星ではなく神様で、栄光栄華の象徴として、天の星と同等の皇妃さまを歌うものみたいだった。

 

舞台の並びは下手に女声陣とFagioli、上手にMenaと Behle、Tittoto。かわいい人たちと、いかつめの兄さんたちで分かれていたみたい(違う)。

Tittotoは、『カリスト』にもジョーヴェ役で出ていて、上手だったから期待していた。とにかく声がでかくて響く。バロックのバスらしい豪快な技巧と低音で笑えてくるくらいの振動が伝わってくる。

テノールのBehleはかなり線が細く聞こえた。これもバロックテノールらしくあまりおもしろくはないのだ。彼はFritz Wunderlichの再来といえるようなテノールであるから、ドイツリートやモーツァルトなどがより向いているのかもしれない。この公演の前後、彼は『冬の旅』ツアーをしていて、素晴らしいものであったとの評をきいた。そっちをききたかったぜ。

女声のうち、もとのキャストで残っていたGalouが、かなりよく聞こえた。容姿もすらりと美しく美の女神にぴったりだ。結局Dumauxの代わりDonoseは、満足のいく代役ではなかった。音域は同じでもジョーヴェは技術と筋肉質な声のCTに歌ってもらわないといかんのだ。
CangemiがProhaskaの代わりに歌ったのだけど、これはもとのキャストが歌ってどうだったかというのはわからない。
代役組は練習不足が隠せなかったから(ただほかのキャストもそれぞれ違うリサイタルや舞台があって忙しかったと思う)、先にキャスティングされていた人が歌ったほうがよかったとは思うけど。それにレコーディングの話はProhaskaありきだろうし。

 Fagioliがやっぱり目立っていた。みんな譜面を見ているのだけど、 Fagioliはほかの人ほどガン見ということもなく、目線が前に来ていることが多かった。だからいっそうよく聞こえるわけだ。
頭がぴかぴかしているのもあって、全身が光り輝いているようなオーラがあった。
太陽神アポロという役にぴったりの曲想にまた彼の声質があっていた。音域としては Fagioliには狭いくらいの範囲だったと思う。極端な音の跳躍もないし、下降する音型もなかった(もしかしたらあまりのスムーズさに気がつかなかった?)ような。はらはらするような音はまったくなく、そこに太陽のフレアのような装飾がつくので、これにはまた引き込まれずにいられなかった。歌い始める前に合唱に向かって指揮者然と身体を向けるのも、なんだか自信にあふれていてカッコよかった。座っている時には客席をじっと見たり、ほかの演奏者を眺めたり、くるくると顔を動かしていた。
歌ってるときの顔芸はあまり目立たなかった。
もうひとりのCT、Menaもかわいめで、のびのびとした声が良かった。

バッハの世俗カンタータでも、依頼者から多額のお金が出たらしい祝祭用作品はオケも比較的大編成になる。
今回も同様に編成が大きく、また弦パートが非常に上手かった。

作品全体としてはこれがフルスコアなのかわからないが、意外とコンパクトにまとまっていて、聴きやすいものだった。1回だけの公演ではちょっともったいないな、と思った。

f:id:Lyudmila:20140519210903j:plain

Fagioli, Mena, Behle, Tittoto, Marcon, Donose, Galou, Cangemi (写真はクリックで拡大します)

さて、終演後、ホールに集結したファン友たちと楽屋口に行った。扉の中に入って、そこの狭いスペースにごちゃごちゃに人が集まるカオスっぷり。入ると暑いし、歌手さんたちにはなかなか近づけないので、私はしばらく外にいた。最初に DonoseとBehleが出てきたかな。Behleはひとりのおじさんと話こんでいた。それから彼は一足早く外に出てきたので「写真撮らせてくださーい」と呼び止め、「ミュンヘンの友だちが冬の旅のリサイタルとても楽しみにしてました」と言うと「25日ね、僕も楽しみだよ」と優しく笑った。

f:id:Lyudmila:20140519210747j:plain Behleです

女声陣とFagioliは、ファンとの交流に非常に忙しく、Fagioliはとにかく大人気なのでたいへんなのだった。Tittotoがきたらつかまえようと思ったのに全然出てこなくて、表から帰ったようだとFagioliが教えてくれた。残念。

この公演はレコーディングされるということはあらかじめ告知されていた。
今年10月に発売されるようだ。
参考までにDeutsche GrammophonのArchiv Produktionのお知らせページから転載。

A spectacular rediscovery will be released on Archiv Produktion in October 2014. La concordia de’ pianeti (The Harmony of the Planets) was created by influential Baroque opera composer Antonio Caldara in 1723 for the Austrian empress’s lavish name-day celebrations. The remarkable piece then languished for nearly three centuries. On 18 January 2014, Andrea Marcon – having painstakingly reconstructed it together with musicologist Bernardo Ticci – gave the first modern performance, conducting Baroque orchestra La Cetra. His brilliant cast is headed by countertenor Franco Fagioli as Apollo – the breathtakingly virtuosic role sung in 1723 by another great castrato, Carestini – alongside tenor Daniel Behle and soprano Verónica Cangemi, among others.

*1:帰りはフランクフルトまで。車内でオケメンバーのひとりから、声をかけられるというおまけつき(ブログ友でバーチャル姉のRさんと着物でおもいっきり目立ってたらしい)。

*2:元キャストはAnna Prohaska

*3:元キャストはChristophe Dumaux