読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Suor Angelica @Gran Teatre del Liceu 27062014

Opera 2014 Barcelona

『修道女アンジェリカ』by ジャコモ・プッチーニ 台本はジョヴァッキーノ・フォルツァーノ 

あらすじ:17世紀末、とあるイタリアの修道院。時は*15月。
美しい春の夕暮れ、修道女たちは庭でそれぞれのほしいものについて、語り合っている。「何も望むものはない」と話すアンジェリカが、実は7年前にここに来て以来一度も届けられない家族からの便りを切望していることを皆は知っている。彼女は高貴な家の生まれで、何かの贖罪のために修道院にはいったのだ。
そこに公爵夫人がアンジェリカに財産放棄のサインを求めに面会にやって来た。そこで彼女の贖罪の理由が明らかにされる。アンジェリカは未婚のまま、ある男性のこどもを産んだため家名を汚したとされ、こどもから引き離され、修道院に入れられたのだ。彼女は公爵夫人にかたときも忘れたことのない息子の消息を尋ね、熱病で2年前に死んだと聞かさる。薬草に詳しいアンジェリカは、自ら調合した毒薬を飲んで自死を図るが、その瞬間、自殺が大罪であることに気づき、聖母に赦しを願う。彼女の願いは聞き届けられた。天使で満ちた聖堂に、白装束の幼児、彼女の死んだ息子が聖母に送り出されて母に歩み寄る。アンジェリカは安らかに息を引き取るのだった。

Suor Angelica: Maria Agresta
La Princesa: Dolora Zajick
L'abadessa: Gemma Comma-Alabert
La zeladora: Marina Rodríguez-Cusí
La mestra de les novícies: Itxaro Mentxaca
Suor Genovieffa: Auxiliadora Toledano
Suor Osmina: Angèlica Prats
Suor Dolcina: Olatz Gorrotxategi

Conductor: Edmon Colomer
Director: Lluís Pasqual

Symphony Orchestra of the Gran Teatre del Liceu

 『囚われ人』の舞台装置がそのまま修道院として使用される。無機質な装置だけに、世間から隔絶された場所というところが際立つ。中央は明るく、白い修道服の女性たちはいかにも清浄な雰囲気だ。
ストーリーも曲も難解さは少しもなく、女声ばかりのアンサンブルは心地よい。
前半で絞り上げられた神経がゆっくりほどけていくようだった。
私はプッチーニの「全世界が泣いた」みたいな*2オペラが嫌いなのだが、この作品は短いせいかそこまでではなく「もういいよ」と思う前に終わるのでちょうどいい。
実際、アンジェリカのアリアは美しく繊細で、日常的にはききたいと思わないけれど、劇場で聞くには悪くない。
アンジェリカ役のMaria Agrestaは、可憐なふっくらとした容姿と、きれいで芯を感じる声を持っていた。
ひとつひとつの音符を大切に歌っていて、ごく自然な演技にも好感が持てた。聴衆の反応も上々だった。
聴くのが楽しみだった公爵夫人の Dolora Zajickは期待に違わず、ひとりだけやけに大音量で声が響きわたっていた。こともなげにこどもの死を伝える冷たい様子が秀逸で、この人は感情が激しい役よりこういう淡々とした役柄のほうがいいんだな、と思った。もちろん役に見合った貫禄も十分だから、これで聞いたのはけっこう儲けものだったかも。
幕切れの天使が満ちる聖堂の場面は、背景のライトが全部灯され、真っ白に明るく照らされる。そこに白衣の*3小さな男の子が奥から歩いてくる。ベタだが、ミニマムで効果抜群の方法で、きれいな終りかただ。
指揮者は地元出身の人らしい。オケはあんまり上手とはいえないけど、歌唱のじゃまをしない。アリアに集中できるから、その点では歌劇場のオケとして優秀なのかも?

こちらは途中のアンジェリカのアリア「母もなしに」のところでも盛大な拍手があり、カーテンコールも普通に盛り上がっていた。半分わけて、『囚われ人』に…。
ということで、ここでは私もばっちりカテコ写真が撮れた。
(写真はクリックで拡大します)

f:id:Lyudmila:20140702214534j:plain

 

f:id:Lyudmila:20140702214524j:plain

 

f:id:Lyudmila:20140702214507j:plain

 

f:id:Lyudmila:20140702214452j:plain  

『三部作』ではこの作品がいちばんいいな。

*1:5月は聖母の月。この月に舞台が設定されているのは、その意味があると考えられる

*2:『トスカ』は別。今度誰かさんがスカルピア歌うから、「聴きたいんだけど、ヨーロッパで歌うことないの?」ときいたら「マリインスキーで…」ごめんねえ、そこ以外でないの?「シカゴで」アメリカ行きたくないの(泣)

*3:この子役は何人いるのか、1回目と2回目では違う子だった