リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Leviathan: リヴァイアサン

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 ナレーション無し、音楽無し映画鑑賞第二弾。しかしこちらは、観るのが大変だった。

ニューベッドフォードの港から、遠洋に出る底引き網漁船に密着して撮られたドキュメンタリーなのだが…。青い海を進む船を上空から撮影とか、青い空を飛ぶ海鳥の群れとか、海の映像として想像するカットはまったくない。漁師の腕や、頭(?)にカメラを付けて*1撮影されているようで、アップで生々しい映像が延々と続く。
真っ暗な海と空。激しい雨と波に洗われる漁船に、魚をみっちりつめこんだ網が揚げられる。黙々とそれらを捌く漁師たち。小さなエイは三つに切られ、取り出された内臓は血液とともに、海に流されていく。
水面はまた別の水中カメラで、船の周囲と海鳥たちを映す。
うねうねとのたうっている網を引き上げる太いロープ、これが海の怪物リヴァイアサンのように見えるのだ。
そう、映画の始まりは旧約聖書のヨブ記の一節、リヴァイアサンの記述からなのだ。
 甲板に揚げられ、船の揺れるままに静かに揺れる魚たちと、暗い空を群れて飛んでく海鳥の映像を見ていると、だんだん気分が悪くなってきた。

自分が船酔いしやすいということを忘れていた。じーっと見ていると、船の揺れをリアルに感じてしまうのだ。音といえばそれこそ船の動力の音と水の音。機関士が聞いていたちょっとした音楽と、鳥の声。
映画、というか映像通の人だとこの作品からなにかすごいものを感じ取ることができるのではないかと思うが、私にはちょっと無理だった。「板子*2一枚下は地獄」ということわざを思い出してしまったのだ。
海も、船も、そのものが怪物なのかな。

*1:足元の映像は足に付けてんのか?

*2:これは和船のことだけど