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リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Hard to be a God: 神々のたそがれ

film

アレクセイ・ゲルマン監督の遺作となった本作品、映画が好きな人たちの間では「観ないと恥」*1くらいの勢いでヒットしているらしい。

www.ivc-tokyo.co.jp

 私は原作を読んでいないが、作品の冒頭で語られることを頭にいれておくだけでじゅうぶんだと思う。プロットはあってもストーリーがない、という印象だ。
地球より800年ほど遅れた「別の惑星」の出来事という大前提も知らなくてもいいかも。
ルネサンスの到来しなかった西欧中世期なのだ。知識人は淘汰され、愚者がはびこり退行する社会。
そこで「神」として存在している異界から来た人々が、なす術もないという描写。ただそれが次々と現れる。
全体がモノクロというより灰色、無彩色の画面。*2
どのカットもフランドル派絵画の活人画のようだ。「引き」の画があまりなく、人物たちは次々とカメラの前に現れる。
観る人の視線を意識し、緻密に計算されて画面づくりだ。実際私があるカットで次に見たい、当然あるべきと思う部分が微妙にかわされる(ちょっとイライラ)。だからこそ目が離せない。
登場人物たちはあまり話さないし、意味がよくわからないせりふなんかも多い。その中で私が気になったのは、主人公ドン・ルマータが何度がつぶやく「тоска タスカー」。この言葉はロシア語独特の意味が他の言語で訳しにくいのだが、字幕では「気が滅入る」*3となっていた。
彼がつぶやくこの言葉の表現力はすごいな、と思った。ある種の郷愁、やりきれなさ、諦念。
たしかに傑作であることは間違いないので、これから公開される、あるいは現在上映館のある地域の方は観る価値あり。
字幕がないのだが、全編はこれ。

youtu.be

 

*1:オタの踏み絵的なかんじのもので、違和感があるところなのだが…

*2:色がついていたら相当にグロいと思う

*3:ともうひとつ何か別の表現があったのだが、忘れてしまった