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リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Fidelio in Wiener Festwochen at Theater an der Wien 20062016

2016 June, Vienna Opera

前夜から雨。それと同時にある出来事があって、私はひとりで大泣きしていた。
朝になってもめそめそしていたが、この日の公演には大好きな友人とふたりで行くことになっていたのでそれが救いだった。
この日はミントグリーンの細かい縦縞の木綿着物に長尺の半幅帯。平土間最前列の下手よりの席をとっていた。通常最前列は足元に余裕があるものだが、TAWのそこは非常に狭かった。オケピとの境がすぐ近くになる。真ん中は絶対指揮者の頭がジャマになるだろう。私の席からはミンコさんの横顔がいい具合に見えた.....ヾ( 〃∇〃)ツ キャーーーッ♪

FIDELIO by L.V.Beethoven

Musikalische Leitung: Marc Minkowski
Inszenierung, Bühne, Licht: Achim Freyer
Dramaturgie: Moritz Lobeck
Leonore: Christiane Libor
Florestan: Michael König
Don Pizarro: Jewgeni Nikitin
Rocco: Franz Hawlata
Marzelline: Ileana Tonca
Jaquino: Julien Behr
Don Fernando: Georg Nigl

Les Musiciens du Louvre
Arnold Schoenberg Chor

 この舞台は足場のように組まれた3層構造になっている。
一番下には目隠しをされ、両手を鎖につながれたフロレスタン(1幕の間はボディダブル)が上半身だけ出ている状態でいる。後から本人が出てくると違いがわかるが、ダブルは体型やひげの感じがMichael Königにそっくりの人だった。両手は作り物で長くひきのばされている。
2層目にはヤキーノ、マルチェリーナ、ロッコ、フィデリオ。この順番は変わらない。それぞれの位置が固定されていて、動かないのだ。出入りに当たるのはドアの開閉と回転による。
3層目*1の下手側にドン・ピツァロ。真ん中は、後でドン・フェルナンドが登場する位置だ。
そしてふたりの兵士も時折二層目の端に登場する。
舞台の手前全体に紗幕がおりていて、そこに時折数字や文字が投影される。*2

f:id:Lyudmila:20160703162141j:plain 18日のカテコ。この時は紗幕が半分上がっていた。20日は下がったまま。

登場人物はドン・フェルナンド以外は序曲の時から出ていて、ドン・ピツァロも自分の持ち場のドアから出たり入ったり忙しないったらない。動きかたはまるっきり人形劇のようだ。そしてそれぞれ大きな仮面を被っているので、誰がだれやらわからない。

f:id:Lyudmila:20160703162612j:plain ポスター撮ってみた。これがドン・ピツァロのフル装備状態。狐みたいな仮面に緑色の鞭を持ってる。すごく楽しそうだった。
衣装はこのようにカラフルでポップな雰囲気だったが、フィデリオだけはモノクロ。男装と女装の違いがはっきりわかるデザインになっていた。*3動き方のみならず科白の部分も人形劇っぽい。
お稽古の期間がかなり長くとられていたが、さもありなん、人物の位置が決まっているので、重唱がやりにくいのではないかと思った。
固定された人物と衣装に入っている文字や数字から、人は全て何かに囚われている囚人であると表現しているのか。自由の象徴であるレオノーレには数字は入っていない。
囚人たちは合唱の時に最下層に出て来るが、2層3層目にもうごめく影として紗幕に投影される。これが気持ち悪かった。
ドン・ピツァロとレオノーレの対決する場面では、やはり歌はそれぞれの固定位置で歌われた。代わりにダンサーが最下層に出てきて象徴的なダンスでもって対決を表現する。ピツァロの持つ短刀は三角定規みたいなものだった。さらに目指す方向は緑色の矢印で示される。
テキストは演出家によって削除されている部分があったが、それはほとんどドン・ピツァロの関わる部分だった。全て前を見て演じるように位置固定されているから、しかたないのかなあ。
全体的にスピード感があり、時折ものすごい速さで演奏されていたし、2幕2場の前のレオノーレ序曲は省かれるからあっちゅー間に終了。
言うまでもなくArnold Schoenberg Chorの合唱が最も美しい出来だった。
ソリストはいずれもソツがなく、じゅうぶん自分の持ち分をこなしていた。演技らしい演技はなくほぼ正面を向いて歌うだけなので、聴き難い部分もなかった。
しかし本来この作品から受けるはずの感動などはまったく伝わってこなかった。
やはり演出のせいじゃないかと思う。

ミンコさんの指揮は、いつも通り。ご自分でも歌いながら*4右に左にふわふわと動きつつ振る姿を見ているのは楽しかった。

20日のカテコ、ビデオを撮ってみた。

youtu.be

幕間には、歩いて1分をよいことに、劇場のブッフェには行かずホテルのサロンでお茶を飲んでまた戻る…ということをした。
終演後もまたそこでお茶を飲みながら、友人とおしゃべりをしてすごした。ちょうど劇場の真横の道が眺められるので見ていたら、ミンコさんがそのままの格好でとことこ歩いて帰っていく姿が見られた。

 

*1:客席で同じ階層の席にいると、歌手はそこにずっといるので、水飲んだり仮面を外したりしてるのが見える

*2:このため非常に見難い

*3:女装では白いエプロンドレス。

*4:特にピツァロのアリアのとこ。高めの音を指示していて、双方ここんとこはかっこよかった