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リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

The fiery Angel at Bayerische Staatsoper 25022017

2017 Munich, Amsterdam Opera

 昨年7月のミュンヘンオペラフェスでの上演を観てはいるが、指揮者とヒロインが代わっているのと、演出が好き、もちろんfavouriteの新しい当たり役がもう一度みたいということで再演の鑑賞に臨んだ。
過去記事はこちら。

 席は1階最前列しもて寄り。favourite演ずるルプレヒトはしもてよりに位置することが多いため、目の前でパフォーマンスが見られた。これがちょっと困ったことにもなったのだが。

Ruprecht: Evgeny Nikitin
Renata: Ausrine Stundyte
Schenkwirtin: Heike Grötzinger
Wahrsagerin: Helena Zubanovich
Agrippa von Nettesheim: Vladimir Galouzine
Mephistopheles: Kevin Conners
Äbtissin: Okka von der Damerau
Faust: Igor Tsarkov
Inquisitor: Peter Lobert
Musikalische Leitung: Michail Jurowski

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舞台にはこのようにタイトルが出ている。私は10分程前には自席にいたのだが、指揮者もすでに指揮台についていた。ユロパパは御々足がお悪く、杖をついておられるのでそのためかもしれない。
演出の印象は前回観たときと変わらない。物語はすべてホテルのスイートルームの一室で完結する。モダンで可愛らしい色合いのデコールが、舞台となっている中世ドイツの暗い雰囲気を完全に払拭している。
場面の転換は部屋の装飾とレナータの衣装でわかるようになっている。
レナータとルプレヒトの幻想の旅は場面を追うごとに登場人物は増えていくが、観る者の意識を拡散することなく、だんだんと中心に向かって集約していくような気がする。
目を離せなくなるのだ。ムダな動きがいっさいなく、一糸乱れぬダンスなどお見事というしかない。
私のfaovourite演ずるルプレヒトは、ほとんど目の前で歌っていたので、2場くらいに進んだときにあることに気がついた…彼のズボンの前ファスナーが開いている…。
ワイシャツの裾はインにしてないのでたぶん遠目にはわからない。しかし私は気になって気になってしかたなかった。いつ気づいて閉めるのだろうか。休憩はないし、前の方に出ずっぱりの場面が続くのですぐには直せない。ひやひやしていたがしばらく後に直せるタイミングがあったのでよかった。
まあ、これに類するようなことは多々あるのだろうし、レナータもかなり動くので近くの席だとスカートがひるがえった時に下着が見えたりもした。作品の内容も内容なので、わざとか、と思えないこともない。
ドレスを着た男性ダンサーのダンスと、演出家お得意のオージーっぽい場面は相変わらずおもしろかった。
オケのコントラバスになかなかのイケメンがいた。彼はどうもその場面が大好きらしく、自分の手があいている時には舞台を下からのぞきこむようにして見ていた。
一見するとはちゃめちゃに思えるが、音楽とぴったり合っていて必然性すら感じさせる優れた演出なのだと私は思う。

今回のレナータ役のStundyte、私は一昨年フィレンツェの《フィデリオ》で聴いていた。パワーがあり、見た目もボーイッシュなタイプなのでフィデリオはぴったりだったが、レナータにはいまひとつかな、と思った。初演のSvetlanaさんにはあった、女性らしい色気がないというか。硬質で高音域になっても、キンキンしない声はとてもいい。長いモノローグが何度も出てくるし、舞台中動き回るのに疲れがまったく見えないところも素晴らしい資質だろう。
一方ルプレヒトのMy favourite Nikitin...今回も完璧といえる出来だったと思う。何度聴いてもこの役はぴったり。ただ、ほんの少し元気がないようでカーテンコールの時も笑顔が少なかった。*1

オケピの様子もよく見えたので観察をしていたら、女性の合唱が裏から入るところで件のイケメンコントラバス他3名程のオケメンが、耳をふさいでいるのがわかった。
なんだろう、とよく見てみるとオケピの奥に合唱団がいた。コントラバスの彼にとってはすぐ後で大音量のソプラノが聞こえるというわけだ。そりゃ耳ふさがないといけませんわね。

初演の息子ユロ兄に代わってのユロパパの指揮。これは魔法のようだった。指揮棒でオケ全体の音をしゅっとまとめていく。緩急のはっきりしていて、管が入るところなんてものすごくかっこいい。プロコフィエフの音楽の「かっこよさ」が200%再現ってかんじだ。音楽と舞台のアヴァンギャルドさに、パパの格調たかい音作りが相俟って絶妙なバランス。ユロ兄だと、テンポをゆっくりめにとるところもあり、もう少しオペークな音に感じた。どちらも知的で上品であることには変わりない。

カテコビデオ

youtu.be

今後再演があるかわからないが、あればまたぜひ観に行きたい。できれば映像メディアが出て、たくさんの人が見ることができるといいな。

 

*1:その後また病気と連絡がきたので、この時点でも体調が悪かったのかもしれない。3回公演やりきってくれたことに心から感謝