リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Casa Vediのマエストロに聞くヴェルディの生涯

映画『カルテット!人生のオペラハウス』の老人ホームのモデルとして知った人も多いと思う、ミラノの「音楽家の憩いの家」カーサヴェルディ。その中で唯一の音楽家職員である指揮者フェルディナンド・ダーニ氏の講演を聴いた*1
作曲家としてたいへん多くの財を成したヴェルディの最後の傑作といわれたのがこの「音楽家の憩いの家」。主に演奏家が入居しているが、音楽に関わる仕事をしていたことが入居条件になっているので必ずしも演奏家でなくてもいいそうだ。
来年に公開される予定というドキュメンタリー『Viva Verdi!』

youtu.be

このトレーラーの紹介が講演の最初にあった。これに見られるカーサの日常に興味をひかれたので、公開されたらぜひ観に行こうと思う。
今回はカーサの紹介ではなく、その建設に至るまでのヴェルディの生涯を作品を追ってたどるという内容だった。

 ヴェルディやプッチーニといったロマン派のイタリアオペラをあまり好まないせいもあり、私はヴェルディのオペラ作品を知ってはいても、人となりやどのような生涯を送ったのかを全く知らなかったので、知ることがたくさんあった。
同時代人のワーグナーに比べたら、支援者に上からものを言ったり借金を踏み倒すようなこともなく愛国心と博愛に富み、農業にも造詣が深く農夫の雇用にも貢献し…と人格的にも優れていた人のようだ。
当時老人ホームのような施設(救貧院とか慈善院という類のものはあった)がなかったところに音楽家の憩いの家を作り、それが自他共に最高傑作と認めるものだったとは素晴らしいではないか。
オペラ作品では《椿姫》など世界のどこかの劇場でいつもかかっているし、メジャーなオペラハウスでも複数の作品が毎シーズン上演されている。
古くからのオペラファンの多くは、イタリアオペラといえばヴェルディであるしその作品を愛している。
講演を聴いて、ヴェルディが愛国者で博愛主義者であったことに最も感銘を受けた。
通訳はイタリア在住のジャーナリストの方がしてくださったのだが、オペラのおかげかダーニ氏がゆっくり話してくださるからか、多少のイタリア語は拾い上げることが出来た。これはちょっと嬉しかったこと。
宣伝もほとんどないイベントにも関わらず、立見が出るほどの盛況ぶりだった。

*1:神戸の講演&シンポジウムではカーサに在住なさっている日本人声楽家の方も登壇されたようだ