リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Tannhäuser at Mariinsky Concert Hall 29062019

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マリインスキコンサートホール

マリインスキ劇場は、旧劇場、新劇場、コンサートホールの3つのヴェニューを持っている。コンサートホールだけはバス停ひとつ分離れているが300メートルくらいの距離なので旧劇場まで歩いてもたいしたことはない。この日はまずコンサートホールで《タンホイザー》を聴いてから新劇場でチャイコフスキーコンクール入賞者ガラを観る予定だった。指揮はゲルギー親分。
親分は今年バイロイト音楽祭に《タンホイザー》でデビューする予定。マリインスキの新演出(とはいえ、セミステージ形式)《タンホイザー》はその練習のようなものだろう。とすればかなり完成度は高いはず。

Conductor: Valery Gergiev
Tannhäuser: Sergei Skorokhodov
Elisabeth: Anastasia Schegoleva
Venus: Yulia Matochkina
Wolfram von Eschinbach: Vladislav Kupriyanov
Hermann: Dmitry Grigoriev
Walther von der Vogelweide: Stanislav Leontiev
Biterolf: Yevgeny Ulanov

 

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ステージ

コンサートホールでの上演なので舞台装置はこれだけ。床と天井の板にビデオプロジェクションで様々な絵画の一部や文字などが映し出される。先月ボルドーで観た《ワルキューレ》と状況は似ている。下手な演出をするよりは経費や時間の節約になるんでしょうね。衣装はなかなかに美しかった。ステージが狭いためダンサーもはいっていたがダンスの部分はなかった。合唱もかなり狭苦しい感じだったが優雅な演技がつけられていた。
ダンサーで大きな鹿と一角獣のかぶり物をしてる人がいて、それはビアズレーの「丘の麓で*1」を想起させるもので気に入った。
マリインスキオペラのアンサンブルはなんでも歌わなくてはならないが、中でもワーグナーを得意としている人も結構いる。外国の音楽祭や引っ越し公演でワーグナー作品を上演しているくらいだ。
今回のタンホイザーもワーグナー歌手を当然集めていた。それぞれ大健闘だったうち目がさめるほど立派な歌唱を披露していたのはヴォルフラム役のKupriyanov。私はこの人を聴いた覚えがないのだが、とてもプロジェクションのいい声で抑えた演技がいい感じだった。タイトルロールがやみくもに歌うタイプだったのでよけい際立った。エリザベトも爆音で迫力がありすぎ。
ゲルギー親分の采配はいつも通り。マリインスキオケにおいては準備は完璧だ。
私はここのワーグナーは好きなのだが、バイロイトのオケでこの演奏が受け入れられるのかはわからない。
25日、初日の放送聴くのを楽しみにしている。

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アプローズ

 

*1:ヴェヌスとタンホイザーの物語