リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Der fliegende Holländer at NNTT 31012015

このプロダクションの前回の上演は2012年3月。それ以来同じ人でばっかやたらに《さまよえるオランダ人》を聴くはめになり*1、今日に至る…と。たまには同じ舞台を違う人で見るのもいいでしょう。

《さまよえるオランダ人》by リヒャルト・ワーグナー

ダーラント:ラファウ・シヴェク
ゼンタ:リカルダ・メルベート
エリック:ダニエル・キルヒ
マリー:竹本節子
舵手:望月哲也
オランダ人:トーマス・ヨハネス・マイヤー

合 唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団
指 揮:飯守泰次郎
演 出:マティアス・フォン・シュテークマン

* 一幕後に休憩あり。救済の動機あり

 今回初めて4階の中央の席に座った*2。この頃はけっこう1階で見ることが多かったので、上から見た見た舞台とか、音響の差が分かっておもしろかった。
歌手によって届く音量や響きの違いがよくわかって、興味深い。
前回と比べていいな、と思ったのはダーラントとゼンタ*3
エリックは以前のトムスラフ・ムツェクのほうが好みに合っていた。
マリーと舵手は同じ人たちで、竹本さんはその時と変わらず上手だと思ったんだが、望月さんには「あれ?」と拍子抜けしてしまった。もっとよく伸びる良い声だったような。
私は舵手役の明るい声や歌を聴くのも楽しみ(エリックよりずっと好きだ)なのだ。
オランダ人のT.J.マイヤーは、舞台姿がなかなかかっこよく、声もいわゆるオランダ人を歌う歌手として想定すると合っている*4と思う。でも私の席まで届くような音の響きを持っていなかった。私のFavouriteと違って顔がでかくないからかな。
ゼンタのメルベートは、エルザを歌いにきた時より、身体のサイズが一回り大きくなっていて*5、余裕のある声量と歌いっぷりが素晴らしかった。ゼンタのバラードのところも、上のレンジに余裕があるのか、ヒステリックな声になっていなくてよかった。オリジナルの調で歌ってもいいんじゃないかな。
なにより違ったのは指揮だ。
飯守先生のような重厚な音作りは、私はひさしぶりに*6聴いた。
そこにオケがぴったりとついて行ったかというとそうでもなかったのが、残念。
弦の上のパートがあまり聞こえてこないのと、金管がちょっと自信なさげな音をぷかぷかと出しているのが気になってしまった。
また、このプロダクションだと、一幕のあとに一回休憩が入る。そのため、一幕から二幕につながる曲をいったん終わらせることになる。序曲の最後の救済のモチーフもなしのせいか*7*8一幕全体間抜けっぽく感じるのだ。
舞台演出も、ちょっとづつ演技とかフォーメーションが違っているように見えたが、以前のことを詳細に覚えていないので、わりとどうでもいいかも。
合唱は相変わらず上手い。が、幽霊船のほうの合唱もPAじゃなくて表でどかんと聴かせてほしいと思う。

これでしばらく《オランダ人》を聴く機会はない。ちょっと寂しいけど。

話は変わって、ペルミオペラが《ホフマン物語》のプレミエをウェブキャストするという告知が出ている。日本時間で今日の23時(モスクワ時間で17:00〜と記載があり、時差6時間なのでこの時間でいいと思うのだが、ストリーム側では時差5時間で計算されてるみたい)から…のはず。前回予定だった《イオランタ》が、テクニカルプロブレムで中止になっているので、今度は成功するといいな。


«Сказки Гофмана» Оффенбаха / The Tales Of Hoffmann Offenbach - YouTube

*1:といっても自主的にやってることですが

*2:あからさまに「見る気合い」がちがってすみません

*3:バイロイトで同役を歌っているのだ、当然といえば当然か

*4:というか普通にバスバリトンの声だ

*5:でも前回のゼンタさんには負ける大きさ

*6:比較的軽くて明るい演奏が好きなせいだからと思う

*7:私はこの演出では最後の救済のモチーフもなくていいような気がする

*8:同様の演奏を聴いたのは2013年のロッテルダムフィルのコンサート形式で、これは指揮がYannick Nézet-Séguin だったから、それほど気にならなかった