リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Le Concerts du Chef: WAGNER at Salle Philharmonique Liege 22022015

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ま、当然のことながら今回の旅のメインがこちら。
リエージュ王立フィルハーモニー管弦楽団シェフによるワーグナープログラム。

ここのきっぷはFNAC経由で購入することになっている。ホームプリントができるきっぷとそうでないのがあり、これは後者だった。席は選べず、ブロック*1を指定すると、そこで購入可のベストの席が出てくる。
私が選んだ時は平土間のちょうど3列目ほぼ中央の席を指定されたので、そのまま購入。
引き取りはFNACの店舗か郵送。もし店の場所がわからなかったり、日曜はほぼ閉店確実なので土曜日に店に行けない場合を考えて、郵送にした*2。到着したのは3週間後。届かないかと思った。

このホールはリエージュ王立音楽院附属のホールで、建物の中も外も古めかしくて美しい。きらびやかではないが、私の好きなくすんだ金色の装飾がそこかしこに鈍く光っている。席数は1200弱。場所も街中ではなく、少しはずれたリエージュ・ギーメン駅から徒歩15分ほどのところにある。

Lohengrin- Prelude Acte 3
Tannhaeuser- Lied an den Abendstern (Wolfram)
Le Vaisseau fantome*3- Overture, Die Frist ist um...(Hollaender)
Le Crepuscule des dieux*4- Trauermarsch
La Walkyrie- Wotans Abschield (Wotan)

Evgeny Nikitin, baryton-basse
Christian Arming, direction

Orchestre Philharmonique Royal de Liege

演奏曲目はこれだけ。赤字はNikitin の歌唱。ロビーで1ユーロで購入したプログラム*5を見て驚いた。「夕星の歌」が入っとるやないか!私はこれを彼の声で聞きたいと思っていた*6。超ワクワク。
まず《ローエングリン》といえばお約束の第三幕への前奏曲。ちょっとユルい、よく言えば上品な演奏。この指揮とオケの演奏だったら「ジークフリートのラインへの旅」をきいてみたかったな、と思った。《オランダ人》序曲も「ジークフリートの葬送」も、日曜の午後に聴くならいい雰囲気だ。ここがホームになるわけだからオケはやっぱり真価を発揮し、ほんとにぴったりの響きをつくりだしているようだった。
この上品な音楽つくりに、Nikitin の歌唱というのはよく合っていた。彼は見かけによらず*7ノーブルな声と非常にエレガントでスマートな歌唱スタイルを持っている。
「夕星の歌」は、ヴォルフラムが好きなキャラクターではないと言っていたせいか、曲の表現を考えあぐねているようだった。オペラで一度演じてみたらきっと変わると思うのだけど。
その点、シグネチャーロールといえるオランダ人とヴォータンは見事だった。
「ヴォータンの告別」では、聴衆がじっと集中しているのがよくわかった。少し抑えたオケの演奏のうえに声がきれいにのり、空間に満ちていく。そういえばいつも彼のオペラばっかり見ていたし、コンサートって初めてだもんね。演技がないぶん、歌にも余裕があるんだな、とうっとり聴いてる間に終わってしまった。休憩はなく、1時間ちょっとで終了。もちろん大ブラヴォーで締めくくられた。
聴きにきているのはほとんど地元の人たちみたいだったし、写真撮るなんてことする人はいないから、私も先に載せた一枚を撮っただけ。

さて、このコンサートは以前この記事

l’Orchestre Philharmonique Royal de Liège のCD3作 - リュドミラ音楽・ひとり旅日記

で触れたCD企画のものだ。
11月に歌手にきいた時にはまだいつ出るかわからないが、これからカバー用のフォトセッションがある、と言っていた。え〜、カバーにこの人の写真使うのかな〜、オケのワーグナーアルバムのおまけでしょ?とおおいに疑っていたことをご容赦ください。
1ユーロ*8のプログラムに最後のページにこれが載っていた。ひゃ〜、シブすぎ!

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実質ソロアルバム扱い!皆さんよろしく!*9

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リエージュフィルハーモニーホールで出待ちする人などまずいないだろう。ここは音楽院の中になるので、楽屋口というのではなく、音楽院の裏口みたいなものだ。
ホールの入口のある通りの一本裏側の通りに面している。扉になにも書いていないので、わかりにくい。偶然そこから楽器ケースを持った人が出入りするのを見てそれとわかった。私のfavourite は、私が待っていることに何の疑問も持たないようだが、ステージドアリサーチはけっこうたいへんなのだ。もちろん待ってるのはまた私ひとりだった。
「どこにいた?客席スキャンしてたけど、 わからなかった」「前から3列目」(またそんな前にいたのか…、とあきれ顔。コンサート用ホールだから舞台が高く、前方だと舞台からは見えないんじゃないかと思う) そして、こんなにやってきて仕事は大丈夫なのかと心配されてしまうのだった。どうしてはなっから有閑マダムの可能性を否定しているのかがわからない。

*1:席のカテゴリは2種類だから

*2:海外発送は10ユーロ。きっぷは30.5ユーロ

*3:さまよえるオランダ人

*4:神々の黄昏

*5:サイトには各オペラの抜粋と記載してあっただけ

*6:現在彼のオペラのレパートリーには入っていない

*7:と何度も言っているが

*8:しつこい

*9:私の身近にいる人たちには無料配布(もちろん私が大量買いするから)される予定