リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

La Cenerentola at Wiener Staatsoper 19092015

ロッシーニの有名オペラ《チェネレントラ》、今回のランは妙に気になるテノールBenjamin Bruns がラミーロ王子を歌うので、観ることに。直前まで鑑賞できるかわからなかったため、当日券を購入。劇場の当日券売場は午前中開いている。
日本から出発前にみた時にはけっこう空席があったのに、この日は第一、第二カテゴリしか空席はないよ、と言われた。しかたないから第二カテゴリの3階上手寄りロジェ1列目の席を購入。

Michael Güttler: Dirigent
Sven-Eric Bechtolf: Regie

Benjamin Bruns: Don Ramiro
Gabriel Bermúdez: Dandini
Pietro Spagnoli: Don Magnifico
Margarita Gritskova: Angelina
Marco Vinco: Alidoro

 トレイラーはこちら。プレミエは豪華キャストと言えるけど、ラミーロ王子は今回のBruns のほうがよかったと思う。

 オペラ座の youtube チャンネルにあがってるBenjamin Bruns のプロフィール的なクリップ。《さまよえるオランダ人》の舵取りがやはり光っている。
ワーグナーのオペラでもリリックな《ラインの黄金》のフローや《オランダ人》の舵取りを歌っているが、声質からもわかるように、もともとバロックや古典派までの声楽曲のレパートリーが多く、「バロックのこども( Franco Fagioli 談)」であるロッシーニを歌うのも不思議ではない。*1

youtu.be

《チェネレントラ》の舞台は、現代の自動車メーカー?ディーラーかなんかの家族の物語になっている。ラミーロ王子は大企業の御曹司風。
単純な読み替えで、意味はたいしてないと思う。アンジェリーナはメガネっ娘で、最後にメガネを取ったら美人とかいうマンガのような展開でもないから、何だろ?頭がからっぽそうで見てくれだけの姉娘たちとの対比のつもりかしら。でも黒縁メガネがすごく可愛く見えた。二層構造で、下の部分がドアの装置。いろいろなドレスが出てくるところは綺麗だった。そう、衣装がかわいいし、きれいなのだ。
演奏がこれまた秀逸だった。
イケメンが指揮しているな、とよく見れば Michael Güttler だった。彼はおそらくロッシーニが得意なんであろう。それに何の気無しに振っていてもオケから最上級の音が出るんだろう、と超失礼なことを考えてしまったが。
歌手さんたちも粒がそろっていて、アンサンブルが巧み。アンジェリーナのメゾは少し高音が得意でないかもしれないけれど可憐この上ない声。巧くてびっくりしたのがラミーロの Bruns だった。予想をはるかに超えた技術と声のコントロールを持っている人だった*2
実に楽しい舞台だった。

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Benjamin Bruns は、来年3月ケヴァントハウス管弦楽団《マタイ受難曲》で福音史家を歌いに来日する。

www.japanarts.co.jp

関西方面の方、兵庫県芸術文化センターでも同演目公演あり。

*1:知らんうちは不思議だったけどな

*2:私はロッシーニの作品については声と技術が全てだと考えていて、表現力とかキャラクターの解釈には関心はない