リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Fidelio in Wiener Festwochen at Theater an der Wien 18062016

またしても到着当日、開演ぎりぎりに劇場にすべりこむ予定で出発。しかし、乗継が30分ほど遅れたため、ウィーン到着も30分遅れ。
荷物が出てくるのを待つ時間もないので、機内持ち込み手荷物のみ*1。ちょうどCATに乗ることができ、ミッテ駅まで最短の16分。U-Bahn に移動するより早いかとタクシーに乗ってみたら運転手さんはナビをセットした後「今日はレインボーパレードがあったから、近い道は通れないかも…」「え〜!」楽友協会の近くで少々渋滞はあったもののなんとか劇場真横のホテルに到着。もう開演時間はすぎていた。
荷物を置いて、着替えもせずにメイクをちょっと直して出かけた。
チケットを引き取る*2 時に係の人*3が「もう始まってるからね」「わかってるよ、ここで待ってればいい?」「あと25分あるから、立ち見席に連れてってあげる。休憩の後に自分の席に行けばいいよ」4階の立ち見席に誘導されているとき、ちょうど私のfavouriteの一幕の登場アリアを歌う声が聴こえた。間に合った!
4階はなかなか見晴らしがよく、音もよいところだった。ずっとここでもいいな、とちらっと思ったくらい。

FIDELIO by L.V.Beethoven

Musikalische Leitung: Marc Minkowski
Inszenierung, Bühne, Licht: Achim Freyer
Dramaturgie: Moritz Lobeck
Leonore: Christiane Libor
Florestan: Michael König
Don Pizarro: Jewgeni Nikitin
Rocco: Franz Hawlata
Marzelline: Ileana Tonca
Jaquino: Julien Behr
Don Fernando: Georg Nigl

Les Musiciens du Louvre
Arnold Schoenberg Chor

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もともとは Dmitri Tcherniakov が演出をする予定だったが、Achim Freyer に変更された。
私は Tcherniakov の舞台も楽しみだったため、少しがっかり。ただ、Achim Freyer の舞台も観たことがなかったので、それはそれでいいかと気を取り直していたのだ。
しかし舞台写真が出たのを見た時にはびっくり。人形劇場、と評されたとおり過剰な仮面と衣装で誰が誰やらわからない。どう見ても《フィデリオ》にはそぐわない。いったいどうやって物語や音楽とすりあわせるのだ。
結果的に、物語と一致する部分はあったが、音楽的にはまったくしっくりこないと私は思った。*4
けっこうテキストが省略されていて*5、そのためスピード感はあるが、唐突なかんじがしょっちゅうする。《フィデリオ》を聞き慣れていて、脳内補完ができる聴衆でないとついていけないところがあるんじゃないか。
さらに指揮者のミンコさんはレオノーレ序曲第3番の演奏を省略するし、ものすごく早いテンポをとる部分があるので、あっと言う間に終わってしまった。
舞台前方には紗幕がおりていて、そこに文字が投影される。
それをつい真剣に読んでしまい、さらに意味を汲み取ろうとすると非常に疲れる。
はっきり言ってジャマな幕だ。
この時点で私は演出の意図がまったく理解できなかった。
2度目に観たときに、多少なりとも意味をつかむことができた気がするので、それについては次の感想に書こうと思う。
この演出では、始めから鎖につながれたフロレスタンが舞台の真ん中にいる。
これがフロレスタン役の Michael König にそっくりのボディダブルで、私はてっきりMichael König 本人が歌う前からずっと出ているんだと勘違いしていた。
そんな過酷なことはいくらなんでもしないだろうし、よくみれば「フロレスタンのダブル」という役がキャスト表に出ていたのだ。
とまあ、頭のなかを疑問符でいっぱいにしながら、1回目の鑑賞を終え、歩いて1分の宿に戻って寝てしまった。

*1:お得意の着物一式入り

*2:Festwochen のチケットは、イベント事務局で引き取りが基本。公演当日には開演1時間前から公演のある会場で引き取ることができるが、通常の劇場カッセとは違う窓口になる。その点注意。

*3:Festwochenのスタッフは若者ばかりだ

*4:そうではない、と言う人はもちろんいるだろう

*5:これは指揮者ではなく演出家の指示によってされたようだ