リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Don Giovanni at the MET 08102016

昼公演の《トリスタンとイゾルデ》の後、《ドン・ジョバンニ》を観ることにした。
当日で、ファミリーサークルの1列目真ん中というなかなかお得な席を購入できた。
昼とはうってかわって女性率が高いし、席の位置のせいか観客の平均年齢も下がったような気がした。

Conductor: Fabio Luisi

Donna Anna: Hibla Gerzmava
Donna Elvira: Malin Byström
Zerlina: Serena Malfi
Don Giovanni: Simon Keenlyside
Leporello: Adam Plachetka
Don Ottavio: Paul Appleby
Mazetto: Matthew Rose
The Commendatore: Kwangchul Youn

Director: Michael Grandage

 ここはもしかしてロンドンのロイヤルオペラではないか…と錯覚しそうなキャスト。*1

タイトルロールのKeelysideは、いっとき声帯の不調でオペラの降板が続いていたが、ここのところは元気に舞台に立っている。
当代トップクラスのDGのひとりをここで見られるのは幸いだ。*2

Grandageの舞台はごくオーセンティックであるが、古臭くない*3。観客が安心して観て、笑えるツボというのをしっかりおさえている。音楽、演技ともにたいへんこなれているため、もうウケるウケる。(音楽はあんまり関係ないのかも)
最後の地獄落ちも本火で派手に決めてくれる。
私はどちらかというとKeenlysideはシェイクスピア原作のオペラで観るのが好きだ。
ルックスもシリアスで、インテリジェンスあふれる芝居がシェイクスピア役者のようだと思うからだ。
しかし、さすがにDGなどは安心して聴ける。登場の時に、高い窓から縄を伝って降りてくるところは、なんとなくドキドキしてしまった。*4
レポレロ、ドン・オッタービオ、ともに声質はきれいで、特に特徴があるわけではない。不足もない。ちょっとつっこみどころがある方が楽しいかも。
女性陣についても特に不満なところはなかった。Byströmは、ドンナ・アンナを歌うランもあるらしい。彼女がドンナ・アンナで、Gerzmavaがエルヴィーラの方がいいかな、と思った。
全般的にまあ普通。特に突出した女声がいるわけではなし、残念な人もいないし、Luisi様の指揮もあってか、まとまりよく心地よく作品をきくことはできた。
モーツァルトのオペラってやっぱりいいな。


このプロダクションはプレミエの時にLive in HDにかかっていた。人気のある演目なのかKeenlysideのドン・ジョバンニのせいか、今季のHDプログラムにも入っている。おまけに名古屋ではカルチャーセンターでこんな単発講座まで!

NHK文化センター名古屋教室:【11月単発】メトロポリタン・オペラをもっと楽しむ!《ドン・ジョヴァンニ》11/26 | 好奇心の、その先へ NHKカルチャー

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またまた終演後、楽屋口に。マチネ公演もあったため、開演が通常より遅く終演も12時近くになった。
そのためか、近ごろの傾向なのか、こちらも出待ち人は少なかった。
常連のおじさん1名は昼に続き、夜にも来ていた。公演は見てないので疲れることはあいのだろう。
Kewさまお待ちかねのSimonも滞りなく楽屋口からご登場され、フレンドリーにおしゃべり。普通にかっこいいおじさま、なのだ。

 

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*1:美人のByströmに当たることが多い私。特に悪いところもなく我慢できない程ではないが飽きてきた。どうしよう、来年の《サロメ》も彼女に当たる予定(泣)

*2:なにを隠そう、我がfavouriteもマリインスキ―劇場ではひんぱんにDGを歌っている。しかしお他所に出たとしたら、場違いと思われることうけあいである

*3:18世紀風のデコールと衣裳デザインはChristopher Oram

*4:運動能力が高いのはわかっているが、近ごろはお怪我も多いし、アラ還ということもあるし…