リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Liederabend; Klaus Florian Vogt 東京春祭 歌曲シリーズ 26032018

私はVogtさんの歌曲コンサートは聴いたことがない。春祭のリサイタルのきっぷをとったこともあったが、友人に譲ったりそもそも買わなかったり。今回は競争率が高いかも、と友人のスペアで買ったきっぷでそのまま行くことにした。前方ピアニスト側の席。アカンパニストは当初予定されていたピアニスト*1 から、ハンブルクオペラの声楽指導監督をなさっているRupert Burleighという方に変更になった。
合わせる時間もほとんどない状態だっただろうし、熱心な日本のファンの前ということもあろう、緊張なさっている様子だった。
私は歌曲の伴奏は、歌手が指揮をとりそれに正確に寄り添うのが正解だと考えている。
その点では、今回の代役氏に不足はなかったと思う。Vogtさんの歌の雰囲気にも合っていた。プログラムについてはいろんなところで確認できるようなので省略。

 Vogtの声は軽い明るいと言われるのが常だ。たしかに10年程前には「少年合唱がそのまま大人になったような」と評される声質だった。私はハイテノールが好きなのであの透明で素っ気ない高音が気に入ったのが、ワーグナーを歌うという一種の違和感が賛否両論だったと思う。
ここしばらくパルシファルを聴くことが多く、他の歌手の同作品のも聴き比べていたところ、むしろ低音域では他のヘルデンテノールより重く深く聴こえるということに気がついた。あのふわふわした音色が嫌い、と批評される方はいま一度お聴きになることをおすすめする*2 あ、でもそれがよくわかるパルシファルのメディアが出てないんだっけか。
今回の歌曲リサイタルでは、その音色の変遷…音域による違いというのがわかるものだった。素晴らしく美しいドイツ語ディクションやスマートなステージマナーも魅力的な人だが、やはり声の音色の純粋さが一番だと思う。
次に演奏会形式の《ローエングリン》を聴きに行く。再演だった新国立劇場の舞台は観に行っていないので、コンヘボの《ローエングリン》以来になるかな。この時すでに「声が重くなってる」と書いている。また印象が変わるかなって楽しみだ。

 

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終演後、サイン会ありますよとアナウンスはされなかったが、楽屋口で行われた。
歌手とピアニストが並んで長机の前に座って「ひとり一点まで、写真はダメ」と厳しく監視されつつ。
私はVogtさんとびこしてアカンパニストにサインをいただいた。Vogtさんのお写真係なのに出番がなかったから。

 

*1:4月のリサイタルには復帰される

*2:他の理由で好まれない方にはおすすめしない