Orchestre de Paris
Stanislav Kochanovsky , conductor,
Golda Schultz , soprano
ニコライ・ チェレプニン : 遠き王女
モーリス・ラヴェル : シェへラザード
チャイコフスキー : 交響曲第5番
この日の朝、 CDG 空港に 8 時 35 分に到着、友人の厚意で午前 10 時からのジェネラルリハーサルに入れていただくことになっていた。
タクシーで空港からフィラルモニまで約 30 分、フライトは時間通りだったので余裕...のはずだったのだが、あいにくの雨降りで突然渋滞が始まった。 GoogleMap を見ているとどんどん到着時間が遅れていく 。なんとか 5 分遅れくらいでフィ ラルモニの前に着き荷物と傘を手に走って入口へ。待っていてくれた友人と荷物検査その他スタッフの方ありがとう。 そろっと中にいれてもらうと当然もうリハは始まっていて、ちょうどシェヘラザードを始めるところだった。ソリストはもちろん 5 ~ 6 分目くらいの音量で、出だしの歌い方を丁寧にさらっていた。こちらはリハーサルらしい何度かの調整をし 、チャイコの5番の方はするっと通していた。

本番が楽しみだねーと話しつつ外に出ると、雨がまたひどくなっていた。 近くでランチ後、メトロでオペラ地区のホテルまで移動してチェックイン。少し休んでから夕方また(今度はメトロで)本番鑑賞に出かけた。雨の日のパリ中心部を非常にあまく見ていたため、また到着がぎりぎりになってしまった。*1
リハは舞台に近い1階の真ん中で拝見したが、本番の席は下手側2階バルコン1列目。コンマスの後ろ姿がよく見えた。このコンマスがたいへんエネルギッシュに動く方で、ほとんど 椅子に座っていないんじゃないかと。これは足腰が強いな!と感心してしまった。 プログラムはレアもの1曲が入る コチャらしいもので、1 つめの《遠き王女》とラヴェルの 《シェヘラザード》は、線の細い幻想的な曲調で、パリ管の音にかなり合っていると思った。 コチャはどこのオーケストラの指揮をしても楽団のポテンシャルを最大限に引き出そうと しているのがわかるし、必ずそれに応えられている。また今回のソプラノに関してもだが、ソリストを引き立てる能力が尋常ではない。 Golda Schultz はフランス語ネイティブではないが、その繊細で柔らかな声と全体に優しいフレージングが耳に快いものだった。カラフルなドレスもとても似合っていた雰囲気ぴったり(今回はリハのどカジュアル姿も見ていたので、衣装って重要!と痛感したことである) 後半のチャイコ5番はかなり鳴らしているようで、うるさすぎない力加減。鳴っている音に反して、コンマスの常にお尻が椅子から浮いてる大 熱演から目が離せなかった。 コチャは故ユロフスキパパとユロ兄に系統としては似ていて、作品の分析力と共演するオケとソリストの特徴の分析力にも長けていると思う。 生まれも育ちもサンクトペテルブルクで、 ソ連時代にも引き継がれていた「帝政ロシアの芸術教育」を受けてきたんだなと私に感じさせる唯一の指揮者だ。ウクライナ侵攻が始まってから、ロシアでの活動はやめて欧州だけになり、今季からついにドイツで放送響のポジションを得た。録音メディアが全く出ていないので聴くならライブ(の現場か放送)になるのだが、たくさんの人に体験してほしいな。推してますよ! というわけで、大雨と遅刻寸前を経て満足感のある渡欧ひとつめの演奏会が終了。近くのお店で友人と少し飲んでホテルに戻った。


*1:ホテル最寄りのメトロ出入口は券売機 等がない口で、先に買ってあったきっぷが改札を通らなかったのをどうしようもなく、別の出入口に行こうにも暗くて道がよくわからなくなっていた。おまけに道路は大渋滞でクラ クションを鳴らす車でうるさいうるさい。なんとかきっぷを買い直してホームに行くとこれまた大混雑。無理やり乗りこんでまたぎりぎりで会場に入ることになってしまった。 Oさんやきもきさせてほんとごめんなさいでした