リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Ensenble Artaserse - HAENDEL: Emöke Baráth & Philippe Jaroussky at Philharmonie de Paris 21092018

というわけで、2階の最前列に着席。地元パリで大人気のPJであるから、客席はほぼいっぱいだった。金曜日の夜で開演も遅い時間だったが後からやって来るお客さんもかなりいた。この新しいホールはベルリンフィルハーモニーを有機的にした感じだ。さすがに竣工時期が半世紀違うのだから席のたどり着くのはベルリンフィルよりずっと簡単だった。どこの席でも舞台がよく見えて音響もいい。私はホールに耳が慣れるのに少し時間がかかるタイプなのだが、ここは最初から最後まで印象が変わることはなかった。

Georg Friedrich Haendel
Ariodante, Ouverture
Ariodante, Air "Qui d'amor"
Ariodante, Duo "Prendi da questa mano.."
Lotario, Air "Scherza nel mar la navicell"
Concerto grosso op. 6 n°4, "Larghetto affettuoso"
Parnasso in festa, Récitatif "Dopo d’aver perduto"
Parnasso in festa, Air "Ho perso il caro ben"
Concerto grosso op.6 n°5, "Allegro"
Almira, Air "Geloso lamento"
Giulio Cesare, Air "L’aure che spira"
Concerto grosso op. 6 n°5, "Largo"
Rodelina, Duo "Io t’abbraccio"
Concerto grosso op.6 n°5
Serse, Duo "Troppo oltraggi la mia fede"
Serse, Air "Se bramate d’amar"
Concerto grosso op.6 n°8, "Adagio"
Giulio Cesare, Récitatif "Che sento?"
Giulio Cesare, Air "Se pieta di me non senti"
Concerto grosso op. 6 n°8, "Andante allegro"
Ariodante, Récitatif "E vivo ancora"
Ariodante, Air "Scherza infida"
Scipione, Air "Scoglio d’immota fronte"
Concerto grosso op. 6 n°11, "Allegro" (cinquième mouvement)
Ariodante, Duo "Bramo haver mille vite"

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またまたパリ

6月末に続きまたパリに行ってきた。今回は19区のフィルハーモニー・ド・パリへ。
3夜連続でコンサートを聴いてきた。パリ市内北東の端にあるため、CDG空港からはタクシーなら30分程度で到着する。18:20頃に空港到着。荷物をピックアップしてタクシーに乗車したのが18:55 ホテルには19:30着。コンサートホール内までは徒歩10分*1 その日のコンサートは20:30から開始のため余裕で着替えて出かけられるはずだった。
カードキーを受け取って、部屋に入ってびっくり。先客がいたのだ。
鍵はあっさり開いたので私が間違えたわけではない。先客の男性はおそらくロシア人、しかもどこかで見たような…? 「間違えられたかな?君のルームナンバーは?」「これです」「同じだね、わかった。レセプションに連絡するよ」*2電話を終えて「君はレセプションで、新しい鍵をもらってね、じゃ」私はレセプションに戻り平謝りのスタッフから正しいキーとお詫びのギフトボックスをもらって、また客室階に戻った。これで15分ほどロス。
あわてて着替えて顔を洗ってメイクをし直して出かけた。大ホールはとにかくホワイエと通路が広く、席にたどりつくまでもけっこう時間がかかる。ホテルを出てから15分でなんとかなった。ぎりぎりに着席。この夜のコンサートはカウンターテナーのPJことPhilip Jaroussky とソプラノのEmöke BARÁTHのヘンデルプログラム。演奏はPJのアンサンブルであるArtaserse 鑑賞記はまた次回。

*1:目の前のホテルからは3分で行ける、とよく記載されているがそれは複合施設シテ・ド・ラ・ムジークの入口までのことである

*2:電話して彼が名乗っていたのでマリインスキ劇場のソリスト、Roman Burdenkoだとわかった。知ってるような気がするわけだ。実際に知り合いじゃないけど

ジーザス・クライスト=スーパースター ミレニアム版

私はロックオペラ、ジーザス・クライスト=スーパースターが大好きで、大昔にレコードを買った記憶がある。今どこにやってしまったかわからない。

 

ジーザス・クライスト=スーパースター(1973) [Blu-ray]

ジーザス・クライスト=スーパースター(1973) [Blu-ray]

 

有名な映画版を見てその後劇団四季のふたつのバージョンを何度か観てきた。
楽曲がとにかく好きなのだ。
歌唱と演出は1973年の映画版がとにかく優れていると思う。70年代ロックとヒッピー文化満載で、劇中劇の体裁をとっているのであまり悲壮な雰囲気になっていないところもいい。
で、おくればせながらNYCの新演出舞台版がテレビフィルムとして映像化されているというので見てみた。これがたいへんおもしろかったのである。

ジーザス・クライスト=スーパースター (2000) [Blu-ray]

ジーザス・クライスト=スーパースター (2000) [Blu-ray]

 

1973年版はジーザスがいかにも教組らしい。細くて柔和な外見と落ち着きがあり、物腰も歌も優しく思慮深い。 見た時は、これでも結構キてるなと思ったけどミレニアム版の弾けっぷりははるかに上をいっている。

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Casa Vediのマエストロに聞くヴェルディの生涯

映画『カルテット!人生のオペラハウス』の老人ホームのモデルとして知った人も多いと思う、ミラノの「音楽家の憩いの家」カーサヴェルディ。その中で唯一の音楽家職員である指揮者フェルディナンド・ダーニ氏の講演を聴いた*1
作曲家としてたいへん多くの財を成したヴェルディの最後の傑作といわれたのがこの「音楽家の憩いの家」。主に演奏家が入居しているが、音楽に関わる仕事をしていたことが入居条件になっているので必ずしも演奏家でなくてもいいそうだ。
来年に公開される予定というドキュメンタリー『Viva Verdi!』

youtu.be

このトレーラーの紹介が講演の最初にあった。これに見られるカーサの日常に興味をひかれたので、公開されたらぜひ観に行こうと思う。
今回はカーサの紹介ではなく、その建設に至るまでのヴェルディの生涯を作品を追ってたどるという内容だった。

*1:神戸の講演&シンポジウムではカーサに在住なさっている日本人声楽家の方も登壇されたようだ

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ヨガで瞑想、気功でマインドフルネス

タイトルの二つのこと、日常的に私がヨガと気功のレッスンで体験していることだ。
瞑想はなんとなくぼーっとしていてなにも考えていないような状態、メインドフルネスは雑念を入れずにその時していることや見ているものに集中する状態、だと考えている。同じようでちょっと違う。しかし両方とも結局は意識を集中させる呼吸法が重要なのだ。
深く息を吸って、ゆっくり吐いて、怒りが湧いている時には沸騰した蒸気を抜くようにフーッと息を吐いていくとだんだんと気持ちがおさまっていく…と気功で学んだ。
またヨガと気功で共通することに、しっかりと大地(実際に土の上にいるのでなくても)に足をつける、というのがある。*1上方に腕を伸ばしたりするときにも上と下に引っ張られるように。これは身体が伸びるので物理的に気持ちがいい。
瞑想もマインドフルネスも、自分ひとりでやろうとしてもまだうまくできない。
呼吸というのも毎日しているのに、意識してしようとすると難しいものだ。
ヨガのレッスンで身体の柔軟性が高く、ポーズが取りやすいと感じる時は、呼吸がうまくできている時だ。
何かに焦っている時には、気功で先生が話してくださったことを思い返す。
息を抜いて、お腹に気をおさめる。呼吸を整えることで気持ちも整う。

この夏は信じられないほど暑くて、身体も気持ちも疲れている方が多いと思う。
9月は私のお誕生月だから、またここで気持ちをリセット。
呼吸がうまくできて地に足がついた毎日をすごしていきたい。

 

*1:これがいわゆるグラウンディングというのと同じかはよくわからない

着物コミック2題

先日はパリで着ようとして着物持っていったのに気温が高くて挫折した。

そんな私がいま楽しみに読んでる着物を着る女の子が主人公のマンガふたつご紹介

 ひとつめは現在連載中、大阪在住のOLが関西の実在の場所に(喫茶店・図書館・神社等)祖母から譲り受けた着物でお出かけするストーリー。季節と場所とそれにまつわる物語に合ったコーディネートが可愛い。

恋せよキモノ乙女 コミック 1-2巻セット

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 もうひとつは、少し前の作品。こちらも東北の城下町商店街にある小さな着物の店を営む二十代後半の女性が主人公。店にある和箪笥は祖母から譲り受けたもの。このおばあちゃんは存命なので、チマちゃん(これは大学時代の先輩に名づけられたもので、本名は朝子)の指南役にもなっている。

 

チマちゃんの和箪笥 (マーガレットコミックスDIGITAL)

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 両方とも冠婚葬祭や華やかな場面での着用ではなく、日常着としての着物が描かれている。チマちゃんのお店も主力製品は紬らしいし、恋せよ…の方の主人公ももちゃんも、あくまで日常のお出かけで(いわゆるちょいちょい着)着るもの。
読んでいると普通に着物でお出かけしたいなあと思えてくる。今は暑すぎるからちょっと無理だけど…先日40℃近い気温の時に絽の着物で地下鉄に乗っている若い女性を見て驚いた。夏きものって見てるぶんには暑そうではないんだよな。

 

パリの人類学博物館

私はフォークロアが好きだ。音楽に限らず民俗学の分野全般に関心がある。神話伝説など伝承文学、伝統音楽、伝統楽器、少数言語、庶民の生活史等伝承の類別は問わない。
なかでも特にフォークカトリシズム*1を代表とする土着の信仰とメジャーな宗教との融合や少数言語の保存について。
愛徳姉妹会のメダイユ教会*2やカタコンブにも行きたかったが、なにしろ滞在日数が少ないのでそちらは次回に回すことにして、今回はシャイヨー劇場に近いふたつの人類学博物館に行ってみた。

*1:「ローマカトリック教会の長女」であるフランス国ではこの点追及するネタも多くある

*2:奇跡のメダイを大量に販売していることで有名だが、ここには「地球の聖母」といわれる聖母の出現に立ち会ったカトリーヌ・ラブレーの遺体が安置されている。ルルドの聖女ベルナデッタもそうだが、腐敗しない遺体というのも聖人認定の際には重要な判定基準になる。《ボリス・ゴドゥノフ》で言及されるウグリチのドミトリ皇子も正教会で列聖されている。これは劇中でシュイスキーが「他の遺体と異なり、眠っているかのような…」と腐敗していない状況を描写していることで、列聖の基準をクリアしていることがわかる。もうひとつは彼の名のもとに盲目の翁の目が見えるようになったという奇跡に拠る

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