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リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Currentzis & MusicAeterna: Le Nozze di Figaro

 

Le Nozze Di Figaro

Le Nozze Di Figaro

2012年の9月から10月にかけて、ウラル山脈麓の都市*1ペルミの歌劇場でセッション録音されたCD。なんと同時にアナログレコードのLPも発売されちゃっている。頑にレコードを愛好する皆さんにもおススメしたいので、都合はいい。しかし、レコード愛好家には古色蒼然とした演奏を好む人が多そうなので、気に入ってもらえるかはわからない。
それほど、この演奏は斬新なのだ。
私が最初に聴いたオペラは『フィガロの結婚』。上演も多い作品だから、実演を観た回数もそれなりにある。だけど、*2こんな演奏聴いたことない!

 まず序曲のものすごい飛ばしっぷりに仰天。指揮者の高度な要求に、手兵であるMusicAeternaは終始徹底した一糸乱れぬ演奏ぶりだ。この速度に独特の装飾まで付けて突っ走っていく。レチタティーヴォといっしょに華やかに踊りまくる自由自在なフォルテピアノ。それぞれの歌手もアリアに独自のオーナメントをつけて歌う。 「オペラらしくない歌い方」とCurrentzisは語っているが、特筆すべきはやはり伯爵夫人のSimone Kermesだろう。彼女はCurrentzisの録音にほとんど参加しているソプラノだ。バロック界のNina Hagen とよばれているが、ハードな見た目に反して声は嫋々とたおやかである。伯爵夫人の最初のアリアPorgi, Amor…での歌声、私は声そのものの美しさに聞き惚れた。歌い方は素っ気なく、聴きようによっては(棒)なかんじなんだろうとは思う。
でも細く細く消え入るような弱音の儚さに、同調してうっかり落涙しそうになるのだ。
その他、各役のレチの演技達者とキャラクターの描き方も際立っている。声だけでしっかりとその演技が目に浮かぶ。スザンナとフィガロの闊達さといったらどうだ。
とにかく聴いてわくわくすること間違いなし、の『フィガロ』だ。
以下のビデオで、4:30からPorgi, Amor…

Teodor Currentzis records Mozart's Le nozze di Figaro, Co... - YouTube

このMusicAeternaのモーツァルトプロジェクトはまだ続く。今年10月に*3コジ・ファン・トゥッテ』、来年に『ドン・ジョヴァンニ』が発売される予定。

*1:この録音の指揮者Teodor Currentzisが芸術監督

*2:おんなじことをモーツァルトのレクイエムを聴いたときにも言ってたな、私。つまりいつもクレさんは斬新

*3:KermesはもちろんMarena Ernman、Chirstpher Maltmanなどがキャスティングされている、超楽しみ