リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Iolanta at Philharmonie de Paris 21092019

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朝のシテ・ド・ラ・ムジーク 奥の見えるのがフィルハーモニー



部屋からフィルハーモニーが見えた。朝早い時間、空がきれいだった。
今回の「週末サンクトペテルブルク」は《イオランタ》と《パルシファル》ダブルビルではなく二日間のプログラムだ。昨年はリングを通すプログラムになっていたので、今年の演目を不思議に思う人もいるかもしれない。
マリインスキ劇場にとってはこの二演目はほぼ同じキャストや合唱で回せるものだ。また《イオランタ》にはワーグナーの曲想を思わせるところもあり、どちらも作曲家最後の作品という共通点もある。私には納得できるプログラミング。

Orchestre et Choeur du Mariinsky
Valery Gergiev, direction
Irina Churilova, Iolanta
Najhmiddin Mavlyanov, Vaudémont
Alexeï Markov, Robert
Stanislav Trofimov, René
Evgeny Nikitin, Ibn-Hakia
Yuri Vorobiev, Bertrand
Andreï Zorin, Alméric
Natalia Evstafieva, Martha
Kira Loginova, Brigitta
Ekaterina Sergeeva, Laura
Marina Mishuk, cheffe de chant
Andreï Petrenko, chef de choeur

 チャイコフスキーのオペラでは私は《イオランタ》がもっとも好きな作品だ。
舞台演出がある場合は演出家の意図でどうにでも読み替えられるが、登場人物が皆優しく温かみがあるし、音楽の自然の描写が美しい。
今回は演奏会形式なので音の美しさから自由に場面を思い描くことができた。
演奏は一分の隙もないほど完璧だと言えた。
コンミスのヴァイオリンのオブリガートが特に素晴らしく、他のオケでこれを聞けることはまずないのでは。イオランタ役のIrina Churilovaの声は可憐でくもったところがなく芯が通って力強い。ぽっちゃりだが顔も可愛い。
はっとする声を持っているのは、Yuri Vorobiev でスラブ系にしては比較的明るい声質で声量だけでもかなり耳を引くタイプ。一緒に行った友人のイチ推しバスなのである。不思議なことにレネ王の役は歌わないのだ。ワーグナーの役の方が重いせいかもしれない。ロベルトはこの人以外はいないだろうというMarkov 、とにかく《イオランタ》の上演があると必ずいるというくらい。唐突に歌い上げる「俺のマチルダほどいい女はいない」は完全に彼のシグネチャーアリアとなっている。主役テノールのMavlyanovも誠実さを絵に描いたような歌唱で好感度が高い。他の人たちの押出しが強すぎるので多少地味に見えてしまうかも。
一番の得役Zhenyaのイブン=ハキアも、よく歌っている役なので安心して聞けるものだ。最初の声の響きかたが他のキャストとまったく違っていた。ちょうどホールでもっとも響くポイントにいるようなクリアな音だった。
ゲルギー親分の指揮を「魔術師のような」という人もいる。この演奏会は確かに魔法にかけられているようだった。爪楊枝なしのひらひら指揮全開だったせいもあるだろうが、オペラにしろバレエにしろチャイコフスキーはやはりマリインスキ劇場が最高なんではないか。
《イオランタ》は近年外国の劇場(もちろん日本でも)上演が増えてきたが、一度は録音でもなんでもマリインスキ劇場販を聴いていただきたいと思う。

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この公演はライブストリーミングがあり、半年間フィルハーモニーパリのビデオアーカイブで視聴可能。ぜひご覧ください。

 

live.philharmoniedeparis.fr

 

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今回一緒に出かけたストラスブール在の友人は、マリインスキ劇場の大ファンである。特にVorobievとMarkovが好きでZhenyaのことも私と知り合ってから気に入ってくれた。彼女はなんと開演2時間前から入り待ちをしていた。しかも間違った楽屋口で。
フィルハーモニーはちょっと複雑な作りで、メインの楽屋口の他にもあるらしい。そちらの方に行ってしまったようだ。出待ちは私が発見した楽屋口の方で待ち、無事お目当てに会うことができたのだった。

f:id:Lyudmila:20191006203828j:plain  右手に幹線道路があり、それに沿ってまっすぐ進むと大きなArtists entranceがある。大ホールの前をどんどん右に回って行くと階段があるのでそこを降りるとすぐ見える。