リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Fidelio at Grand Théâtre de la Ville de Luxembourg 07122018

「観た」という記録だけはしておこうと思う。
ルクセンブルクの《フィデリオ》は、中1日空いて2公演だった。当然両日のきっぷは買ってあり、2回目の席は2階中央やや下手より最前列だった。1回目より見通しはよかった。
この前日空き日の昼間Zhenyaから体調が悪い旨連絡があった。次の公演までの間に立て直すつもりだったと思うが、急激に具合が悪くなり何より声に影響があった。
彼は降板を決め、代役の歌手が舞台袖で歌うこととなった。
この演出がこんなところで奏功するとは思わなかった。歌手が持ち場を離れない、というスタイルは代役が袖で歌っていても重唱などに影響はない。譜面を見て歌っていてもまったく気にならないのだ。
代役の歌手はおそらく急きょドイツから呼び出されたのだと思う。地の利も活かされた。演奏も申し分なく、つつがなく終演に至った。

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ミンコさんからひとりおいて左側が代役歌手Sebastian Holecek



Fidelio at Grand Théâtre de la Ville de Luxembourg 05122018

ルクセンブルクは欧州の国としては比較的新しいため、宮廷劇場風のオペラハウスはない。ルクセンブルク大劇場と称する劇場は、オペラ、バレエ、ミュージカルなどが上演されるが座付きのオーケストラやアンサンブルはいない。
そのため、指揮者が手兵のオケごとやってきたり、ルクセンブルクフィルハーモニー管弦楽団がピットに入ったりする。この《フィデリオ》の初演時にはオケはMinkowskiのLes Musiciens du Louvre Grenobleが演奏していたが、今回はルクセンブルクフィルハーモニーが本拠地のフィルハーモニールクセンブルクから引越し公演するという態であった。合唱はアルノルト・シェーンベルク合唱団。

Musikalische Leitung: Marc Minkowski
Inszenierung, Bühne & Licht: Achim Freyer
Kostüme: Achim Freyer & Amanda Freyer
Mitarbeit Bühne & Kostüme: Petra Weikert

Leonore: Christiane Libor
Florestan: Michael König
Don Pizzaro: Evgeny Niktin
Rocco: Franz Hawlata
Marzelline: Caroline Jestaedt
Jacquino: Julien Behr
Don Fernando: Cody Quattlebaum
1. Gefangener: Antonio Gonzalez Alvarez
2. Gefangener: Marcell Krokovay
Chor: Arnold Schoenberg Chor
Künstlerischer Leiter: Erwin Ortner
Orchester Orchestre Philharmonique du Luxembourg

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ルクセンブルクの街

ルクセンブルクは日本から行く場合、フランクフルト、パリ、アムステルダムから空路で行くか鉄道で行くのが効率的だと思う。費用や移動にかかる時間を考えて、往路はパリCDG空港からルックスエアに乗ることにした。ターミナル2Dに到着後、荷物を受け取ってあらたにターミナル2Gでルックスエアにチェックインする。
どうやらえらく辺鄙な場所にあるらしい2G。移動に30分と記載されていてびっくり。前情報はtwitterで教えていただいた。*1
すごく小さくて少し前までバラック状態だったとか、飛行機には基本歩きかバスで搭乗とか。
ターミナル2Gには空港内の専用シャトルで移動するしかない。ターミナル2Fの2階からそのバスは出ている。バスに乗車している時間は10分程度。

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ターミナル2G到着

中に入るとすぐPAULの売店があった。チェックインカウンターはガラガラ。スタッフものんびりしていた。私はつい荷物を預けるのを忘れてしまった。いったんセキュリティチェックに入ってしまったが、係員が「スーツケース預けないと!うっかりしてたね」と注意してくれた。チェックインカウンターに引き返して自動バゲージドロップコーナーに行った。e-ticketのバーコードがどうしても読み取られずに困って、お客そっちのけでおしゃべりに興じているスタッフに聞いてみると、拡大してスキャンしないといけないことがわかった。なるほど。

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ゲート前の待合スペースは広い

ボーディング時間になったらゲートまで移動し、本当に歩いて乗った。間違えないか心配になったがルックスエアは一機しか停まってなかったので間違いようはなかった。小さいプロペラ機。定刻に出発。しかしずーっと滑走していた。あまりにも滑走時間が長いので飛ばずに陸路で行ってしまうのかと思った。
それでもやっと飛んで、約1時間でルクセンブルクフィンデル空港に到着。小さい空港なのであっという間に外に出られた。時刻は22時過ぎ、タクシーでホテルまで。料金は45€だった。公共料金は比較的安いルクセンブルクで、タクシー料金は高めかな。昼間ならバスやトラムで移動した方がお得だと思う。タクシーもそうだが、ホテル以外のお店ではまず「フランス語?英語?」ときかれる。表示はドイツ語とフランス語*2がほとんどで、人々の会話は基本フランス語だった。英語はパリ市内程度には通じる。

*1:顔の見える遠征猛者の私のFFさんたちはさすがである、直ちに様々なアドバイスをいただける

*2:例えばオペラの開演前の「携帯電話の電源をお切りください」等の告知はフランス語と英語、字幕はドイツ語とフランス語というように内容によって変わっていた

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パリ経由ルクセンブルクへ

f:id:Lyudmila:20181211201944j:image    見に行ったのはこれ。2年前にウィーン芸術週間でも観たプロダクション

今回、私はパリ経由でルクセンブルクへ行ってきた。4日にルクセンブルク着*1帰りは8日にストラスブールでいったん下車して友人と会ってからパリへ。市内で一泊して翌9日にCDG発。
パリは燃料税増税に抵抗する黄色ベストデモが毎週のようにあり、8日も行われていた。すでにデモではなく「暴動」「内戦」とまで報道される始末。8日はあらかじめ交通規制や商店等の臨時休業が告知されていた(らしい)。私は文字どおり時間が決められた「デモ」だと思いこんでいたし、観光をするわけではないので、シャンゼリゼ通りを中心とする立入り規制も無関係だとまったく気にしていなかった。
様子がおかしいと気づいたのは東駅に降り、タクシーに乗ろうとした時だった。

*1:CDGからルックスエアに乗り継いだので、往路は空港から出ていない

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Bis: Franco Fagioli and Venice Baroque Orchestra 東京オペラシティコンサートホール 22112018

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日曜の西宮に続き、初台に行ってきた。
兵庫芸文ではいきなり大ホールでほぼ満席に近い聴衆、初日ということ緊張の度合いも高くオケ合わせも慣れていないようだったが、聴衆の集中力と歌唱力もあり随分といい演奏会だと思った。
しかし、公演3回目のこの日は期待を数倍上回るものだった。今回もバロックオケにしては大きめかと思ったが、客の入りもよく(前宣伝がかなり功を奏していたようだ)、演奏の息も合ってきていた。
私の席は2階バルコニーL側舞台より。このコンサートホールではなるべくこの位置を選ぶようにしている。音の聴こえ方がまるで違うのだ。
思った通りオケの音がまるまって上に上がってくる。
またフラちゃんの声は驚異の全方位型。背後にも倍音が広がるのだ。あの響の広がりかた、音の放射性は、実際に聞かないとわからないだろう。
キレッキレのアジリタ、3オクターブの声域、パワフルな発声と繊細な表現力。
フラちゃん自身の技術力とオペラチックな表現力は年々増しているようだ。
さらに、私の位置からみて改めて確認できたのは、彼のアンサンブルを率いる統率力だ。ここはヴァイオリンのアンサンブルリーダーもチェンバロの通奏低音も当然統率できる力があるはずだ。
にも関わらず、完璧に楽器を操っていたのはフラちゃんだった。目配り、ちょっとした指の動き、果ては声のコントロールで。これができるソリストというのは実は少ない。
有名なオペラ歌手でも、さらに有名なピアニストをアカンパニストにすることがある。そうするとどちらも相殺されて凡庸になってしまうことが多々あり、素晴らしい組み合わせで聞いているはずなのにいまひとつ…ということはありませんでしたか?みなさん。
私はアカンパニストを操れる歌手こそ最高級だと考えている。*1
確かにVBOはバロックアンサンブルとしても素晴らしいのだと思う。でも器楽曲の時よりもフラちゃんの歌が入った時の方が断然音がいいのだ。歌ごころ倍増。
フラちゃんは、ヘンデルのアリアを一曲づつ丁寧に歌う。オブリガートがつく曲では一層ひとつひとつの音符に心を込めて楽器に寄り添って歌っているのがよくわかる。
そして彼の真骨頂である鬼神のごときみごとなアジリタはものすごかった。
技術的にこれほど優れていながら、情景を声で描くことのできる表現力と叙情性を併せ持つ。音楽のパラダイムシフトを起こした天才であるモーツァルトのようだ。ミューズに愛されている。
今回は最後のCrude furieでフラメンコ風の足さばきはあったが、ペンギンみたいな可愛い横移動がなくて残念だった。
それにしても最高潮のフラちゃんを聴けるという僥倖。招聘に尽力した友人たちが誇らしい。実際の招聘元、アレグロミュージックさんの計らいにもどんなに感謝してもしたりない。

*1:アカンパニストとして超一流の人もいるが

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Franco Fagioli and Venice Baroque Orchestra 兵庫県立芸術文化センター18112018

 

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ついにフラちゃんが日本にやってきた。有料プログラムに、この招聘に関わる日本のファンの尽力がわかる文章が書かれているのでぜひご一読いただきたい。
このフラちゃん招聘プロジェクトの発火点になったアルチーナさんと同好の友達と初日の西宮公演に行ってきた。
プログラム詳細は会場のサイトに載っているので略。日本のヴェニューは親切で、アンコールまで載せてくれるし。

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徳川美術館特別展覧、源氏物語絵巻をみる

友人のご厚意にて、徳川美術館の賛助員向け特別展覧にうかがった。
現在、特別展【源氏物語の世界】が開催されている。徳川美術館には12世紀に制作された国宝の源氏物語絵巻三巻が収蔵されており、額面装から本来の巻物装に修復*1したものを今回展示している。
館内の展示も鑑賞したが、特別展覧は実際に広げられた絵巻を展示ケースごしではなく、拝見できるというものだった。マスクを着けて、掌を絵巻の上にかざしたりしてもいけない。竹河二、宿木三、東屋一の三巻。
細い墨文字のテキスト部分の文字は非常に美しく残っている。絵はやはり褪色してかすれてしまっているが、典雅な筆致はそのまま再現されている。金銀の箔は変色しているとはいえ十分に装飾の効果はあげている。台紙は茶色になってしまっていたが、濃い茶色部分はもとは蘇芳、薄い茶色部分はピンク色だったそうだ。今見るよりずっと鮮やかな和の色彩がここにあったのだなと想像できた。いくら巧みに描かれていたとしても、後世に作られたコピーとはまったく違っているのだと思う。
徳川御三家のうち、尾張徳川家のみがこのような美術工芸品を保存展示する施設を持っている。
尾張徳川家のお膝元にいてよかったとつくづく思う。

*1:額面装にすると常時空気にふれていたり、台紙にテンションがかかり長期の保管に適さないと判断されたそうだ

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