リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

4月になってから

新年度、私は4年ぶり部署を異動した。

初めて本部の建物に通勤することになり、人も多いのでものすごく緊張してすごしてきた。3月末からひいた風邪もなかなか治らず、どうなることかと思ったが、連休前にもちなおした。健康ってだいじ。10連休は普通にお休みだけど、どこに行くでもなく家で掃除をしたりヨガ行ったりしてすごすことにしている。

5月から元号が変わる。先の改元のような慌たゞしさもなく平成の時代を回顧する余裕がある。次の時代が明るく希望のもてる時でありますように。

The Gambler at Mariinsky II 24022019

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マリインスキ新劇場

この日は新劇場での鑑賞。プロコフィエフの《賭博師》
指揮者はまたまたSmelkovだった。
このプロダクションはマリインスキレーベルから映像が出ている。

PROKOFIEV The Gamblermariinskylabel.com

Conductor: Pavel Smelkov

The General: Andrei Serov
Pauline: Yekaterina Solovyova
Alexei: Vladimir Galouzine
Babulenka: Irina Bogachava
The Marquis: Andrei Ilyushnikov
Mr Astley: Maxim Bulatov
Blanche: Evelina Agabalaeva

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Prince Igor at Mariinsky Theatre 23022019

Evgeny Niktinは今年の11月から12月にかけて上演されるパリオペラ座の新演出《イーゴリ公》のタイトルロールで出演することが決まった。パリオペラでは来年《ボリス・ゴドゥノフ》の再演もありそちらにもプレミエと同じくワルラーム役で出演の予定。

マリインスキー劇場では現在、新・旧両方でほぼ毎日オペラ・バレエがレパートリーシステムで上演されている。コンサートホールももちろん毎日稼働していて、演奏会形式のオペラはそちらで上演することもある。これだけの稼働率がある劇場は他にはないと思う。
古い演出もたくさん残されていて、比較的古い舞台は旧劇場、新しい舞台演出のものは新劇場で上演されているようだ。
《イーゴリ公》はオーセンティックな舞台で、2008年のマリインスキー改訂版。2008年の来日公演で上演されたのと同じものなのでご覧になった方も多いと思う。DVDで出ている2002年のものとは少し異なる。有名なポロヴェッツ人の踊りは1909年フォーキン版が使われていて、これはずっと変わらない。

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マリインカ旧劇場

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ロイヤルボックス

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プレイビル

 "Prince Igor" by Alexander Borodin
Stage director: Yevgeny Sokovnin
Version stage diector: Irkin Gabitov, 2008

Conducter: Pavel Smelkov

Igor Sviatoslavich: Yevgeny Nikitin
Yaroslavna: Tatiana Pavlovskaya
Vladimir Igorevich: Dmitry Voropaev
Vladimir Yaroslavich: Alexander Morozov
Khan Konchak: Askar Abdrazakov
Konchakovna: Olga Borodina
Ovlur: Yuly Alexeyev
Skula: Grigory Karasev
Yeroshka: Andrei Zorin
Yaroslavna's nurse: Lydia Bobokhina
A Young Polovtsian Maiden: Irina Vasilieva

Polovtsian Dances

Polovtsian Maiden: Alisa Petrenko
Chief Warrior: Erwin Zagidullin
Oriental Slaves: Daria Shirokova
Olga Telyupa
Irina Prokofieva

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ピーチェル街歩き 2

聖イサアク大聖堂も有名な観光スポットであるが、季節柄それほど観光客はいなかった。カッサは大聖堂の真横に位置していた。階段を登って上まで上がる共通券を自販機で購入。

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この位置から右を見るとカッサがある

おもむろに内部に入場

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豪華装飾

血の上の救世主教会もここが管理していて、共通券などもあるが内部の装飾は随分と差がある。こちらの方が骨太で壮麗な古いロシアの美を感じる。
どこもこの燻んだ金色にきっかりとした色遣いのイコン。古い教会の装飾はそれ自体が天上と神の言葉を信徒に伝える「死者の書」だと言われるが、その意図がダイレクトに伝わってくる。
内陣を見学していったん外へ出てから、大聖堂のてっぺんに登る階段の入口へ向かった。階段は240段ほど。ピサの斜塔の約300段も登ったことがあるので大丈夫。
螺旋階段なので途中で目が回りそうになる。登り切って外の景色。

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もう少し雪があるともっと綺麗だったかもしれない。
サンクトペテルブルクってやはりアムステルダムに似ている。

ここから降りて、またバスに乗りホテルまで戻った。

さて部屋に戻ってもやはりまだ荷物は届いていなかった。放っておいたらいつまでたっても来ないだろう。アエロフロートのロストバゲージのトラッキングサイトを見ていたのだが、アクセスできなくなってしまった。どちらにせよ私の荷物のステイタスは配達中から更新されていなかったし。
コンシェルジュに事情を説明して、電話で問い合わせてくれるように頼むと、なんとすぐ解決。20分後に配達するという言葉通りその後無事配達された。
もう明日帰るという時だがとにかくよかった。あまりにもうれしかったので部屋に戻って用意していたぽち袋に少し多めの心づけを入れてコンシェルジュに渡した。
コンシェルジュ嬢は、「そんな、当然のことをしただけで…」と顔を赤くしてようよう受け取ってくれた。
午後3時になっており、この日はマリインカ新劇場へ行くつもりだったのでホテルの隣のトラットリアで遅い昼食をとり、少し休んでから今度はニットワンピースに着替えて出かけることができた。
雪は降っていなかったので、またバスに乗った。反対方向に乗ってしまって途中で気づいて乗り換える。やはり余裕を持って出た方がいい。

ピーチェル街歩き 1

荷物が届かないまま、到着翌日の朝。雪が降っていた。急ぎの用はなにもないので、朝食室に行きのんびり食事。朝8時にはまだ他のお客は誰もいなかった。
朝食後は何もすることがなく、ipadでガイドブックやgoogleマップをみて近くで行けそうなところがないか探していた。なにしろ雪用のブーツがないのだから雪道を歩くことは避けたい。お昼近くに雪が降りやんだので、すぐ近くにある劇場音楽博物館に出かけることにした。
ハイヒールのショートブーツで、滑らないように歩道をそろそろと歩く。
気温はかなり低く、-5℃くらいだったと思う。googleマップを見ながら歩いていると突然ipadの電源が落ちてしまった。寒さで異常にはやくバッテリーがなくなったのかと思ったが、本体が冷たくなりすぎたためだった。なるべくバッグの中や身体に近い場所に入れて、温度を保つ必要がある。ipadはホテルに戻って普通の気温になったらすぐに復旧した。カイロなどを貼っておくのは熱くなりすぎるのでダメだそうだ。人肌の近くかマフラーのようなもので包んでおくといいだろう。どうりで街なかで電話をしながらとか歩きスマホをしているような人を見ないわけだ。

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22・23日は休館ですよ、の貼り紙
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再びサンクトペテルブルクへ

ロンドン行きをやめ、代替遠征はサンクトペテルブルクにした。前回行ったのが一昨年末だったので、約1年ぶりだ。
目当てのマリインスキ劇場で《イーゴリ公》と《セミョーン・コトコ》のどちらを観ようかと迷った末、《イーゴリ公》をとった。両方見られるほどの期間いられないのが残念。ビザを頼むのに3週間は必要なため、決めたらすぐにロシアビザセンターに依頼した。以前と同じくフィンエアでヘルシンキで降り列車で行きたかったが、時間と値段の合うフライトがなくアエロフロートに乗ることにした。
成田発着なので、出発前夜仕事が終わってから成田に移動して一泊した。

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パリ行きなのでロシア入国する人は少なかった

モスクワでの乗り継ぎ時間は1時間55分。シェレメチェボ空港の国内線乗り継ぎ時間は1時間5分必要と空港のサイトに記載されていた。出発が遅れたので間に合うのかと心配だった。座席のパーソナルディスプレイが機能していない席が多数あり、私の並びの席の人は移動していた。私の席ももちろんダメで、席換えするかときかれたが別段不便もないので断った。そんなことよりアエロフロートの恐ろしさは別のところにあった。

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Valer Sabadus and Concerto Köln アンサンブルホールムラタ(京都コンサートホール)09022019

私はサバちゃんのコンサートには縁がなく、一度機会を逃しているため最後に彼を聞いたのは4年前。ますます成長していることと予想し、とても楽しみにしていた。

 

lyudmila-galahad.hatenadiary.jp

 

プログラムには「親しい二人〜Caro Gemello〜」というタイトルが付いていた。
サバちゃんの歌とコンツェルトケルンの器楽演奏はヴァラエティに富み、一瞬も退屈させられない構成だった。

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Saba Chan :) のサイン

京都コンサートホールの小ホールは510席のこじんまりとして居心地がいい。客は八分の入りというところか。両端とバルコニー部分は空いていた。
コンツェルトケルンの合奏は初めから全開。一糸乱れぬ堅牢なアンサンブルだった。
一曲終わるとサバちゃん登場。ヘンデルのオンブラ・マイ・フが歌の一曲め。
4年ぶりにきくサバちゃんの声が、少し違って聞こえた。少し重くてくぐもったような。すっきりとした透明感が聞き取れなかったので、もしかして少しの間に声質が変わってしまったのかと危惧した。
しかしそれは杞憂に終わった。第一部の後半にあった《リナルド》のアリアからは、調子が上がり、厚みがあってふんわり、音質は透き通っており、独特の浮遊感のある素晴らしい声が聞けた。

コンツェルトケルンのコンミス平崎真弓さんのリードは全く隙がなかった。アンサンブルには一本太い芯が入っており、サバちゃんの声も楽器のひとつとして組み込まれ、一曲一曲を石造りの建物のように作っていく。
ぴったりと息のあった歌手とアンサンブルを聞ける安心感。

休憩に入ると、聴衆の「期待以上!」という静かな興奮が感じられた。最初本調子が出てなかったサバちゃんだが、それに気づかれないのは彼の美貌の為せる技。
(友人が目測した)8.5頭身の長身、茶色の短髪に陶器のような白い滑らかな皮膚に整った目鼻立ち。可愛らしい笑顔が何かに似てるな〜と考えていた。

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パピヨン

これじゃね。

後半第二部では、アンサンブルの調子はさらに上がっていた。サバちゃんはにこにことしていたが、オケの面々はあまり笑顔は見せず、一曲一曲全力で弾いているのがみて取れた。彼らの集中力というのは並大抵ではなく、最後の一音に向かって収束していく演奏は見事だった。
アンコールは三曲

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私の席からちょうど袖にいるサバちゃんがアプローズで出てくる前に、付箋を貼ったカンペを握りしめているのが見えた。おそらく日本語でご挨拶がくるだろうと期待。サバちゃんは譜面台にカンペを置くと「ありがとうございます。アンコールは!」と曲目を読み上げた。これが三回。初恋も日本語で歌ってくれ、感涙ものだった。

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終演後、ホワイエでサイン会があった。サバちゃんと平崎さんが並んでサインをしてくださった。同行の友達と私が「サバちゃん、サバちゃん」と言っているのを聞いて平崎さんが「あなたはサバちゃんて呼ばれているのよ」と説明していた。サバちゃんは「サバちゃん?こう書くんだね」と上に載せてある写真のように書いてくれた。下にちゃんとしたサインもあるけど、サバちゃんの「Saba chan」おもしろいでしょ。この後10人くらいはこのバージョンでいただいたとのこと。
 

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爽やか好青年

ありがとう、また来てね。