リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

Cecilia Bartoli sings Handel @バービカンホール 8/12/2010

Franco Fagioli 来日記念につき、以前のブログから移植してきました。文体が今と違うのが笑えますが、とりあえず。

前々日中部国際空港から出発するとき、チェックインカウンター前で若いドイツ人マエストロを見送りにきた師匠に遭遇。 当然どこに行くのか訊かれるわけですが、ドイツ人マエストロはカウンターテナーはよく知らないみたいで、バルトリを聴くんだと言ったら「それはいいね~」とおっしゃってました。 師匠はバルトリのヘンデル自分も聴きたいと騒いだあと、共演のフランコ・ファジョーリに対して「名前からしてカストラートみたいだから、そりゃきっとええで。」エ?ソウナノ…(@Д@; それ、ファリネッリ…。  

さて椿姫さんのおかげで今回も最前列中央席。 人気公演ですぐ売り切れてしまっていましたし、ありがたや。 感謝百倍です。 バルトリ姐はお姫様ドレスが好きみたいだけど今日はどんなのかしらね、とわくわく。 椿姫さんとご友人といっしょに着物で行かれればよかったけど、結局この日は3人とも洋服で出向きました。 
最初にバーゼル室内管弦楽団のリーダー、ジュリア・シュレーダーが颯爽と登場。 いきなり台にけつまづいて転びそうに。 しかしすばやく体勢を整え、元気よくにこにこ。 会場の笑いを誘い、つかみはオッケーな状態。 この方、色白でゴムまりみたいな雰囲気なんです。 半身をきゅっきゅっとひねってガシガシと演奏する姿がたいへんにチャーミング。 「さあっ、演奏するわよ!」「よっしゃ、上出来!」ヽ(´▽`)/ と、ずーっとそんなかんじ。 音そのものはアグレッシブではなく非常に流麗で上品でした。

前半のバルトリ姐のお衣装は黒の比較的シンプルなドレスで、なかなかスマートに見えます。 
ほんとうにこのひとはすごい! オペラで聴くと怖いと思えるほど感情がぎゅっとつまっていますよね。
コンサートでも、曲にはいりこんであたりはばかることなく怖い顔したりするんですが、間に見せる笑顔はとてもかわいい。 (イタリア歌曲を歌う彼女のたおやかでかわいらしい表情を思い出してください) そしてどこから声が出てるの~と不思議に思います。 お口が大きく動くわけでもなく、のどがゆれることもないのに、ぱあっと音が流れ出てくるのです。 どんな華やかな装飾もらくらくと次々に出てきます。 声が出てくるのが見えそうな気がして、彼女の口元をぽかーんと見つめ続けてしまいました。

後半はいよいよ新進カストラート(じゃなかったカウンターテナー)ファジョーリを伴っての「ジュリオ・チェーザレ」抜粋。 椿姫さんと「フラちゃん楽しみだね~。」と待っていたひとであります。 バルトリ姐は明るい黄色のスカートとビスチェのお衣装にお召しかえ。 クレオパトラっぽくなきにしもあらず。 
チェーザレといえば「va tacito e nascosto」。 ホルンといっしょに勇ましく歌いだすファジョーリ、声質そのものはさほど好きとは思えないけれど(私の好みではないだけです)、発声がどのレンジでも均質。 特に低音域が自然なのでこのひとはテノールが地声なのかな? 技術も正確でへんなゆれがないとこがいいし、かなり男性的な印象を受けました。 歌っているときに彼は左足に力をいれ、ぎゅっとこぶしをにぎりしめています。 森進一? それにとにかくお目目をギョロギョロさせて表情を作るので、間近で見ているとその顔芸に笑えてしまって困りました。 フラちゃ~ん、気持ちはわかるけど無理しないで~。 若いし、小柄でとっても可愛らしいのでバルトリ姐さんにあわせて英雄っぽくするのはたいへんでしょ~。 でもふたりの声はとても似合っているんです、最後のデュエットもお見事。 バルトリ姐も実にうれしそうで、素晴らしいコンサートは終わりました。 アンコールはまたva tacitoとリナルドのデュエットだったと思うけどバルトリ姐がなにを歌ったかわすれちゃった。(*_ _)人ゴメンナサイ

 

追記 : アルチーナさん情報 バルトリアンコール曲はたぶん「Son qual nave」