リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

ピーチェル街歩き 1

荷物が届かないまま、到着翌日の朝。雪が降っていた。急ぎの用はなにもないので、朝食室に行きのんびり食事。朝8時にはまだ他のお客は誰もいなかった。
朝食後は何もすることがなく、ipadでガイドブックやgoogleマップをみて近くで行けそうなところがないか探していた。なにしろ雪用のブーツがないのだから雪道を歩くことは避けたい。お昼近くに雪が降りやんだので、すぐ近くにある劇場音楽博物館に出かけることにした。
ハイヒールのショートブーツで、滑らないように歩道をそろそろと歩く。
気温はかなり低く、-5℃くらいだったと思う。googleマップを見ながら歩いていると突然ipadの電源が落ちてしまった。寒さで異常にはやくバッテリーがなくなったのかと思ったが、本体が冷たくなりすぎたためだった。なるべくバッグの中や身体に近い場所に入れて、温度を保つ必要がある。ipadはホテルに戻って普通の気温になったらすぐに復旧した。カイロなどを貼っておくのは熱くなりすぎるのでダメだそうだ。人肌の近くかマフラーのようなもので包んでおくといいだろう。どうりで街なかで電話をしながらとか歩きスマホをしているような人を見ないわけだ。

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22・23日は休館ですよ、の貼り紙
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再びサンクトペテルブルクへ

ロンドン行きをやめ、代替遠征はサンクトペテルブルクにした。前回行ったのが一昨年末だったので、約1年ぶりだ。
目当てのマリインスキ劇場で《イーゴリ公》と《セミョーン・コトコ》のどちらを観ようかと迷った末、《イーゴリ公》をとった。両方見られるほどの期間いられないのが残念。ビザを頼むのに3週間は必要なため、決めたらすぐにロシアビザセンターに依頼した。以前と同じくフィンエアでヘルシンキで降り列車で行きたかったが、時間と値段の合うフライトがなくアエロフロートに乗ることにした。
成田発着なので、出発前夜仕事が終わってから成田に移動して一泊した。

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パリ行きなのでロシア入国する人は少なかった

モスクワでの乗り継ぎ時間は1時間55分。シェレメチェボ空港の国内線乗り継ぎ時間は1時間5分必要と空港のサイトに記載されていた。出発が遅れたので間に合うのかと心配だった。座席のパーソナルディスプレイが機能していない席が多数あり、私の並びの席の人は移動していた。私の席ももちろんダメで、席換えするかときかれたが別段不便もないので断った。そんなことよりアエロフロートの恐ろしさは別のところにあった。

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Valer Sabadus and Concerto Köln アンサンブルホールムラタ(京都コンサートホール)09022019

私はサバちゃんのコンサートには縁がなく、一度機会を逃しているため最後に彼を聞いたのは4年前。ますます成長していることと予想し、とても楽しみにしていた。

 

lyudmila-galahad.hatenadiary.jp

 

プログラムには「親しい二人〜Caro Gemello〜」というタイトルが付いていた。
サバちゃんの歌とコンツェルトケルンの器楽演奏はヴァラエティに富み、一瞬も退屈させられない構成だった。

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Saba Chan :) のサイン

京都コンサートホールの小ホールは510席のこじんまりとして居心地がいい。客は八分の入りというところか。両端とバルコニー部分は空いていた。
コンツェルトケルンの合奏は初めから全開。一糸乱れぬ堅牢なアンサンブルだった。
一曲終わるとサバちゃん登場。ヘンデルのオンブラ・マイ・フが歌の一曲め。
4年ぶりにきくサバちゃんの声が、少し違って聞こえた。少し重くてくぐもったような。すっきりとした透明感が聞き取れなかったので、もしかして少しの間に声質が変わってしまったのかと危惧した。
しかしそれは杞憂に終わった。第一部の後半にあった《リナルド》のアリアからは、調子が上がり、厚みがあってふんわり、音質は透き通っており、独特の浮遊感のある素晴らしい声が聞けた。

コンツェルトケルンのコンミス平崎真弓さんのリードは全く隙がなかった。アンサンブルには一本太い芯が入っており、サバちゃんの声も楽器のひとつとして組み込まれ、一曲一曲を石造りの建物のように作っていく。
ぴったりと息のあった歌手とアンサンブルを聞ける安心感。

休憩に入ると、聴衆の「期待以上!」という静かな興奮が感じられた。最初本調子が出てなかったサバちゃんだが、それに気づかれないのは彼の美貌の為せる技。
(友人が目測した)8.5頭身の長身、茶色の短髪に陶器のような白い滑らかな皮膚に整った目鼻立ち。可愛らしい笑顔が何かに似てるな〜と考えていた。

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パピヨン

これじゃね。

後半第二部では、アンサンブルの調子はさらに上がっていた。サバちゃんはにこにことしていたが、オケの面々はあまり笑顔は見せず、一曲一曲全力で弾いているのがみて取れた。彼らの集中力というのは並大抵ではなく、最後の一音に向かって収束していく演奏は見事だった。
アンコールは三曲

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私の席からちょうど袖にいるサバちゃんがアプローズで出てくる前に、付箋を貼ったカンペを握りしめているのが見えた。おそらく日本語でご挨拶がくるだろうと期待。サバちゃんは譜面台にカンペを置くと「ありがとうございます。アンコールは!」と曲目を読み上げた。これが三回。初恋も日本語で歌ってくれ、感涙ものだった。

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終演後、ホワイエでサイン会があった。サバちゃんと平崎さんが並んでサインをしてくださった。同行の友達と私が「サバちゃん、サバちゃん」と言っているのを聞いて平崎さんが「あなたはサバちゃんて呼ばれているのよ」と説明していた。サバちゃんは「サバちゃん?こう書くんだね」と上に載せてある写真のように書いてくれた。下にちゃんとしたサインもあるけど、サバちゃんの「Saba chan」おもしろいでしょ。この後10人くらいはこのバージョンでいただいたとのこと。
 

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爽やか好青年

ありがとう、また来てね。

今年もよろしく&遠征キャンセルの件

1月も半ばを過ぎてしまいましたが、本年もよろしくお願い申し上げます。

予定していた今年1回目のロンドン遠征をやめることにしました。
ロイヤルフェスティバルホールでのLPO&ユロ兄指揮《ワルキューレ》演奏会形式をZhenyaが降板したからです。半年前にはこの後パリにも行って《トロイ人》《ルサルカ》を観る予定を雪の心配と日程が長くなりすぎることを考えてロンドンだけにしていました。
購入していた舞台のきっぷ、ロンドン分は行っていただける方がいましたが、パリはまだきっぷが余っている状態のためか引き取り手現れず。加えてロンドンのホテルは宿泊料を先払いしていたため、戻ってこず。航空券はキャンセル料をとられましたから、過去最高の損失となりました。
大ショックを受けてる私の変化 ↓

とかなんとか、遠征するとなんかあるわけなんですが、気を取り直して代替遠征の手筈を整えている現在です。懲りてない。

ストラスブール

ルクセンブルクのオペラを観るミッションが終わって翌日、私はストラスブールに住んでいる友人に会いに移動した。TGVに乗らなくともロレーヌで乗り換える列車でいけばよい。フランス国鉄のアプリできっぷは購入できたが、引き取りは駅のマシンでしろという。チップ付きのクレジットカードを持って来なかった私は、窓口での引き取りになり、手数料を取られてしまった。
何事もなくストラスブール駅着。

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ストラスブール駅
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Fidelio at Grand Théâtre de la Ville de Luxembourg 07122018

「観た」という記録だけはしておこうと思う。
ルクセンブルクの《フィデリオ》は、中1日空いて2公演だった。当然両日のきっぷは買ってあり、2回目の席は2階中央やや下手より最前列だった。1回目より見通しはよかった。
この前日空き日の昼間Zhenyaから体調が悪い旨連絡があった。次の公演までの間に立て直すつもりだったと思うが、急激に具合が悪くなり何より声に影響があった。
彼は降板を決め、代役の歌手が舞台袖で歌うこととなった。
この演出がこんなところで奏功するとは思わなかった。歌手が持ち場を離れない、というスタイルは代役が袖で歌っていても重唱などに影響はない。譜面を見て歌っていてもまったく気にならないのだ。
代役の歌手はおそらく急きょドイツから呼び出されたのだと思う。地の利も活かされた。演奏も申し分なく、つつがなく終演に至った。

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ミンコさんからひとりおいて左側が代役歌手Sebastian Holecek



Fidelio at Grand Théâtre de la Ville de Luxembourg 05122018

ルクセンブルクは欧州の国としては比較的新しいため、宮廷劇場風のオペラハウスはない。ルクセンブルク大劇場と称する劇場は、オペラ、バレエ、ミュージカルなどが上演されるが座付きのオーケストラやアンサンブルはいない。
そのため、指揮者が手兵のオケごとやってきたり、ルクセンブルクフィルハーモニー管弦楽団がピットに入ったりする。この《フィデリオ》の初演時にはオケはMinkowskiのLes Musiciens du Louvre Grenobleが演奏していたが、今回はルクセンブルクフィルハーモニーが本拠地のフィルハーモニールクセンブルクから引越し公演するという態であった。合唱はアルノルト・シェーンベルク合唱団。

Musikalische Leitung: Marc Minkowski
Inszenierung, Bühne & Licht: Achim Freyer
Kostüme: Achim Freyer & Amanda Freyer
Mitarbeit Bühne & Kostüme: Petra Weikert

Leonore: Christiane Libor
Florestan: Michael König
Don Pizzaro: Evgeny Niktin
Rocco: Franz Hawlata
Marzelline: Caroline Jestaedt
Jacquino: Julien Behr
Don Fernando: Cody Quattlebaum
1. Gefangener: Antonio Gonzalez Alvarez
2. Gefangener: Marcell Krokovay
Chor: Arnold Schoenberg Chor
Künstlerischer Leiter: Erwin Ortner
Orchester Orchestre Philharmonique du Luxembourg

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