リュドミラ音楽・ひとり旅日記

Give every man thy ear, but few thy voice.

読売日本交響楽団 メシアン:歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」びわ湖ホール 23112017

11月22日、Dmitri Aleksandrovichの訃報に接し、ほんとうに残念で悲しいです。ご家族近親の方はもとより、世界中の多くのファンに愛されている偉大な歌手です。ご冥福とともに、深い悲しみに沈んでいる方々のお心に平安がありますようにと心からお祈りいたします。

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Béjart Ballet Lausanne 魔笛 18112017

Maurice Béjartは10年前の2007年11月22日に亡くなった。
東京文化会館のロビーにはこのパネル(ネコかわいい)

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私も3年前に第九交響曲で久しぶりにBBLのパフォーマンスを見た時に、Béjartの存命の時とは変わったんだなと思っていたが、今回の公演でもそのような感想をよく見かけた。私はそれが悪いとは思っていない。
パフォーマンスのレベルは高いし、作品に対するリスペクトは感じる。
ただ求心力を失っているのかもしれない。ちょっと寂しい。
私はBéjartのダンスは、ストーリーを物語るものではなく、音楽を表すものだと思う。
だからといって超絶技巧の歌唱に対応して技巧的な振付をしているのではない。
音の表現する感情であったり、象徴的な事象を目に見える形で表現している。それが簡素な舞台装置とコールドと一体化しているように見え、演出自体優れたものだと思う。
物語は語り手である弁者に委ねられる。語りはフランス語。音楽の歌唱部分は、ベルリンフィルの音源をそのまま使用しているのでもちろんドイツ語だ。ジングシュピールの語りの部分は省かれている。
善悪二元論とフリーメイソンの教義と思しきものが、コンセプトとしてある。舞台の幕が開き、最初に現れるのは五芒星の中央に横たわる弁者の姿。ここでもうスピリチュアルな雰囲気満載なのだ。
☓十年前にテレビ放送で初めてこの作品を見た時の、パミーナの白いレオタードばかりが記憶に残っていて、全体を無彩色だと思い込んでいたので実際の舞台がクレーかカンディンスキーの絵画みたいだったのにはちょっと驚いた。
そしてまあ、なんとJulien Favreau*1 のザラストロがすてきだったこと。オペラの《魔笛》の主役もザラストロだと思っているので、我が意を得たりってとこかな。
こういう舞台では、オケ付きでなく録音を音楽として使用する。私も生オケのほうがいい*2とは思うが、そういうもんだとすれば気にはならない。再生環境がいいところで、優れた演奏の録音であればそれなりに聴けるし。
コンテンポラリーの作品の場合、表現が優れていれば音源はあまり気にならないということもある。
とにかく久しぶりにBBLの魔笛に会えて、よかった。

 

 

*1:この人出てくるとやっぱり舞台の雰囲気が一変するのだ

*2:ロシアの劇場なんかはオケ付きで来るので、比較的クラオタ率も高い

オペラのドレスコード?

新国立劇場がバイラルマーケティングを始めたのかと思った。
バズったのはこちら(炎上というには気の毒だし

togetter.com

新国立劇場さんが後でツィートなさっていたとおり、運営サイドとしては撮影に劇場を使用されたのでご紹介というのがほんとのところだと思う。
なにもこんな恰好で入場しないといけないとか、お客にはこのようにドレスアップして来てほしいと(たぶん)のお考えではないだろう。
劇場によく行っている人々は、観客や自分がこのような服装をしていないということはよく知っている。失敗は、これから行こうとちらっとでも考えた人に対して思い切り敷居を高くしてしまったことだ。
そのため「実際にこんな服装の人はいない」と、いう意見が続出したのだと思う。
逆にいいところもあったと思う。ここからちょっと興味をひかれた人々も少なからずいただろう。なんにせよ、名前とやっていることを知られなくては、劇場もオペラも認知度は上がらない。
私がこれはもしかしたらバイラルマーケティングかと考えたのは、そういうことだ。

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ウラジーミル・ユロフスキ&ロンドンフィル来日記念!再掲

いえ、たいしたことじゃないんです。せっかくユロ兄が初来日してるのに、なんかプログラムに必ずピアノコンチェルトが入ってて、ピアニスト(まったくファンの層が違う)の影に隠れちゃってるので、以前のユロ兄レクチャー記事を再掲してみます。
ユロ兄のチャイ5、かっこよかったですよ!

 

lyudmila-galahad.hatenadiary.jp

 

 

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Fidelio at Teatro di San Carlo 25092017

同公演2回目の鑑賞。席は平土間前方下手側。舞台をちょっと見上げる格好になった。ステージ付きも楽しいが、この作品はコンサート形式の方が合っているような気がする。舞台設定がはっきりしていて、視覚に頼らなくても情景を思い浮かべることができるからだ。これはワーグナーの楽劇にも通じる、音楽の雄弁さだと思う。
前回と変わらず、ドラマチックに語られるレオノーレの心の声。マルチェリーナへの優しい気遣いや、夫を救うという固い決意と不屈の精神がきめ細かに表現されていた。
Metha師の采配のもと、このソリストチームは素晴らしく、各々役の個性にぴったりと見えた。

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エルコラーノ遺跡へ

ナポリに来て、ポンペイの遺跡に行こうと考えていたが、その手前にあるエルコラーノ遺跡の方がコンパクトで、修復状況もいいと聞いたのでそちらに行くことにした。

私はガレリアウンベルトプリモの中のホテルに宿泊したので、最寄りのメトロでまずは中央駅まで出た。中央駅のメトロの駅名はガリバルディ。そこからベスビオ周遊鉄道に乗り換える。この鉄道はソレントまで行ける。ポンペイに行くには必ずソレント行きに乗らないといけないが、エルコラーノは別の目的地へ行く電車でも行ける。

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Circumvesvianaの表示を見て行けばよい。観光客が目指しているのはほぼこの方向なので、間違えることはないと思う。
切符の窓口にはけっこうな列。「エルコラーノ、ウノ」でOK。片道2.2€(帰りはなぜか2.28€)。安い。ナローゲージのがたがた揺れるぼっろい電車に乗ること20分でercolano scavi駅に到着。

 

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Fidelio at Teatro di San Carlo 23092017

ヨーロッパで現役最古の歌劇場として有名なサンカルロ劇場。たしかに古色蒼然としている。デジタルサイネージもないし、入口も重い木の扉だった。(しかも公演前に開場するのが遅い)トイレは無料だったが、個室のカギが壊れていたりナポリっぽかった。

天井画はこんなふう。

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シャンデリアはなく、そのせいかなんとなく地味。音響はロイヤルボックスが一番良いそうだ*1
この日私は2階のボックス席前列に座った。視界は良好。字幕は舞台の上部にイタリア語と英語併記。

*1:favouriteとそのマネージャーさんの意見

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